ホラー短編 『園児の視点で一人称』危険な叔父さんが登場する。おじさんは誰の目から見ても悪である。
僕は、いきなり変な叔父さんに殴られた。
ほんとに、いきなりだった。
わけがわからない。
どうして、なぐられなきゃいけない。
僕は、何も悪い事をしていない。
殴られる理由なんてない。
叔父さんは言った。
「君は悪くない。悪いのは叔父さんだ。。これは君の為でもあるんだ。
これから、君は人を殴るから、私が先に、お仕置きとして、殴ってあげたんだ」
僕は腹が立った。
この変な叔父さんを思わず殴り返した。
だが通用しない。何度殴っても通用しない。
僕は、幼稚園児だから、通用するはずがない。
僕は、大声で助けを呼んだ。
ここは、幼稚園の庭だ、直ぐに助けが来てくれるはずだ。
だが、助けは来なかった。
待てども待てど、誰も来ない。
「君は今、叔父さんを殴ったね。10回くらい殴ったね・・・
せっかく先にお仕置きしたのに、反省しないんだね・・」
叔父さんはそういうと、僕を何度も何度も殴りつけた。
僕の口は切れた。前歯が折れた。血が沢山落ちる・・・
「これで、君が殴った分のお仕置きは終わりだ。」
叔父さんは、そういうと、また殴り始めた。
どれくらい殴られただろう。
殴られている間叔父さんは、同じ事をしゃべっていた。
「君は悪くない。悪いのは叔父さんだ。。これは君の為でもあるんだ。
これから君は人を殴るから、私が先に、お仕置きとして、殴ってあげたんだ」
叔父さんの行為は終わることは無かった。
僕は、心の中で誓い続けた、2度と人は殴らないと・・・
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気が付くと、僕は布団の上だった。
周りには、友達、先生たちが居る。
僕は、全身に痛みが走った。
僕の体は、全身あざだらけだった。
僕は、一部始終を先生に話した。
先生は、学芸会で、ピアノの練習をしていて
僕の助ける声は聞こえなかったようだ。
叔父さんの姿も誰も見なかったという。
叔父さんは、いつまでたっても警察には捕まらなかった。
それから、僕はケンカに負けることはなかった。
叔父さんのした人道的じゃない苦しみを知っていたから、
子供のパンチなど痛くないと思った。
けれど、人を殴ると、いつも叔父さんの顔を思い出した。
僕は、叔父さんが、また、いつか来るような気がして、できるだけケンカはしないようにした。
叔父さんは、来ることはなかった。
叔父さんは、どこかで僕のように子供に、お仕置きをし続けているのだろうか?
悪い叔父さんだ!!