恋愛系その2 5494文字
<あらすじ>
夜中、カップルがいちゃつく公園で・・・
片思い中の先輩と、その公園を横切る
部活が遅くなり、よる、9:00をまわる。
「好きなドラマが始まるから、急いで帰ろう」
普段通らない公園を近道し、先輩とのキスの妄想をする。
<本文>
唇と唇が吸い付く光景を見たとき、私はぞっとした。
ここは、夜の公園、恋人たちは、人目を気にせず、はずかしげもなく、いちゃいちゃしている。
私は、汚らわしいもの見るような目で見ていた。
しかし、よくよく考えると、彼ら彼女は、それ以上のこともしていることをしているのだから、
「この程度のことは、見られてもどうってことない」と思っているのかもしれないと、
自分を納得させてしまっていた。
納得いてしまうと、人はなぜ、こうも冷静になってしまうのか、
私は、恋人たちの、それ以上先を妄想してしまっていた。
まず、ある2人カップルが目に留まった。
2人は、他のカップルとは、違って何もしていなかった。
手をつなぐことも無く、お互いを顔さえ見ていなかった。
2人は、恋人同士なのか、私には疑問に思えたが、付き合い始めの時なのだと、推理した。
だとしても、ここに、付き合い始めのカップルがいるのは、場違いにも程があると思う。
2人は、どういう人たちなのだろうか?
私は、考えてみた。
女の人は、明らかに成人しているとおもわれ、24、25、位だと思う。
男の人同じくらいに見えた。
なんの、不自然さもないが、私は、決定的なちがいというものを見つけた。
服装だ。センスが悪い
もっと言えば
そもそも2人がきているものは、みすぼらしかった。
男の人は、まるで、アキバ系オタクで、使い古されたジーンズをはき。
女の人もまた、上下黒の、喪服の様な、地味なドレスをチョイスしているのである。
わたしは直感した。生き遅れてしまった男女なのだという事を
2人は、互いに、未経験者なのだと。
インターネット等で知り合い、場所を決め、待ち合わせて会ったたものの、カップルがひしめく場所だった。
普通なら、ここで場所を変えるという選択肢もあるのだろうが、
2人は、貞操に関して、異常なまでの意識をしているのだろう。
その意識を相手の悟られまいと、この場を離れることさえ提案しようにも、言うにいえない状態になっているのではないか?
そう推理した時、なぜか私は、将来に不安みたいなものを感じてしまった。
私自身が性に対して汚らわしいと思う部分があって、
自分の中にオリジナルの美学というものが漠然とあった。
少なくとも他のカップルたちのと行為とも違う
もちろん、その生き遅れた2人のシチュエーションとも、かけ離れた期待を求めていた。
私は、このままの自分の期待が、叶わなかった場合の自分を想像してしまった。
私にとって、参考になる事例が、どこにもないのだから、いずれは私も生き遅れてしまうのではないのか・・・
そうなったら、わたしも、見た目を気にしなくなっていき、
あの女のように、みすぼらしくなってしまう・・・
私は、ぞっとした。
とともに、見えない迷路に迷い込んだ気がした。
私は一体、何を求めたいのか?
考えても、ただ、ただ、時間だけが過ぎ去ってく・・・
翌日から、そのことは、すっかり忘れた。
私は普通に学校に通っていて
もう直ぐ、文化祭がはじまることになっていた。
クラスで出し物の意見を出しあい。
ありきたりな、お化け屋敷となってしまった。
面倒だったし、半ば事なかれ主義に、意見に参加していなかった。
その時は、まさか、それが、わたしにとっ、初体験の引き金になろうとは、考えもしなかった。
気付くと、私の役割は、勝手に決められていて、沢山の仕事を押し付けられていた。
わたしは夜遅くまで、学校に居残って、仕事を片付けるはめになっていた。
夜9:00を回ったところだろうか、あまりに遅くなりすぎていて、
一人で帰るのが不安だった私は友達を捜した。
友達はトイレに行ったらしく、私は待っていた。
突然、男の人に声をかけられた。
憧れの先輩が声をかけて来たのだ。
先輩は、これから帰るらしく、私に友人が見当たらない事を心配して一緒に帰ろうというのだ。
私は、緊張していて、上手く、友達のことを説明できなかった。
「10:00から、ドラマが始まるから、急ごう」
先輩はそう言って、いそいそと、外に出て行こうとする。
私は、流されるまま、先輩と一緒の道を帰った。
途中先輩は近道をしようと、公園を横切る提案をしてきた。
私もそのほうが近かったから、了解してしまったのだが、それが、いけなかった。
カップルたちが、いちゃつくところを横切る羽目になってしまった。
少なくとも私は、意識してしまった。
憧れの先輩が近くに居ると、なおさらであった。
わたしは、先輩の顔を少しだけみると、道先を見た・・・
先輩も目をまっすぐ先を見つめていた。
私は思った。
先輩も私と同じで意識しているのかもしれない。
先輩が私を好いているかどうかは、わからないが、
少なくとも、未経験であろう男女がここに来たら、意識しあってしまうのかもしれないと
私は思った。
先輩も未経験者なのだろうか?
だとしたら彼女は、もしかしたら、居ないかもしれない。
そもそも、私という女と一緒に帰るくらいだから
彼女に気を使ったらできないことだから
先輩に彼女はいない。
私は小さな期待を感じたまま、帰宅した。
その夜は、彼のことを考えてしまい、眠れなくなっていた。
目を閉じるとると、今日の出来事が何度もフラッシュバックする。
彼の瞳を思い出す。
。
手が届きそうなほどに。近くに見える。。。
声が聞こえる。
公園のいちゃつくカップル・・
嫌でも、彼と私を照らし合わせて、しまう。
そのまま朝が来てしまっていた。
夢をみたが、その記憶はない、わからないまま、今日も文化祭の準備に追われた。
文化祭当日が、やってきた。
私は、いそがしく、立ち回っていて、休憩時間がようやく取れた
私は、静かなところで、休憩していると、
とつぜん、先輩と眼が合った。
先輩は、はこっちにやってきて、険しい顔つきで
「文化祭、終わったら校門の前で待っててくれ」そう言い残して、去っていった。
私は良いほうに・・・予感してしまった
わたしは、予感したまま、告白された。
うれしいけど、何か釈然としないものがあった。
あの日、一緒に公園を横切っていなければ、先輩を意識することもなかった。
なら、先輩も、私を意識することはなかった?
あの日、一緒に公園を横切らなければ、今日、先輩に告白される事もなかった?
意識しなければ
告白の喜びは大きかったと思う。
好きだったから、断る理由なんてなかった。
2人の付き合いは、はじまった。
告白の疑念は忘れて、皆が考えるような恋人らしくなっていた。
彼は好きだと、言って、キスを求めてきた。
私は拒まなかった。
けれど、その先は、私にとって、敷居が高いように感じさせた。
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「俺は、あなたが好きだ。。」
俺はキスをした。
半ば強引に。
彼女は、断るそぶりはみせなかったからだが、「いいよ」という返事は、聞いて居なかった。
俺は、本当に彼女を好きだったから、後悔をさせるはずはないと、
自信があった。
俺は、彼女のことが、心底好きで好きでたまらない。
結婚したいとも考えている。
告白のきっかけは、確かに、あの公園での出来事が、影響したのわかっている。
けれど、判ってほしい。
あの時は、君が他の男に取られる可能性を考えてしまったんだ。
絶対に他の男に奪われたくなかったんだ。
性的な関係をメインに想像しなかったと言えば、嘘になる。
俺は、男なんだ。思って当然だ
だけど、君の気持ちになって考えたら、汚らわしいと思った。
だから、俺は、君と俺の間にある見えない壁があるのに、気づいてしまったんだ。
俺は、どうやって、君と付き合うべきか悩んだ。
けれど、答えなんて無かった。
ただ、判るのは、少なくとも俺は、自然のオスのようにはなれない。
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私は、彼の気持ちが。わからないでいた。
キス以上のことは、求めて来ないことに、安心する。
その反対に、
自分が情けないようにも思えた。
こんな風に考えるなんて、恋人としておかしいと思うし、ばれたら嫌われてしまうと思った。
私は不安でたまらなかった。
このまま、彼を失いそうで・・・
つなぎとめるためにも、彼が求めてきた場合に、受け入れる覚悟をしていたが、
その覚悟は、あくまで受身であって、いつそうなるか、内心恐れていた。
彼が私を求めてこないことも私のことを「もう好きではない」と言われているようで
不安だった。
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私たちが繋がっているのは、なんなのだろうか?
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俺が、君を好きになったのは、実は結構昔なんだ。
言えば、ストーカーみたいと思われるかもしれないから、言わなかった。
君が、7歳の時、僕は9歳で、
小学校の登下校に付き添っていたんだ。
班のみんなは、ふざけあって、競争して走り出した。
その時、君を置き去りにした。
初めての登校なのに、不安がいっぱいあった君を取り残して
僕は、君のおもり役なのに、、あしらうように嘘をついた。
「これから、皆で学校まで競争するんだ。
遅れたら置いてけぼりになる。
けど、大丈夫。見失ったら、お兄ちゃんが必ず見つけてあげる・・・」
僕と班の皆は、学校に先に辿りついた。君を置いてきた事が問題にされて、やっと気が付いた。
君が、迷子になっているということ・・・
時間がたっても始業のチャイムがなっても、学校に来ていないこと
先生には「誘拐されたらどうするんだ」
と怒鳴られたが、子供ながらに、その意味が理解できなかった。
その頃の僕は、すれてた。両親は、離婚で、どたばたしていたし、
正直、僕は、親のどちからか、あるいは両方を失うかもしれない、恐怖でいっぱいだった。
だから、自分以外はどうでもよくなっていたのかもしれない。
その時の僕は、しぶしぶ君を探しに行ったんだ。
僕は、いったん自宅に帰り、自転車で適当に探しに出かけた。
僕と仲間たちは偶然出会い、その時間を使って遊びほうけていた。
エアガンなどで、遊んでいた。
その時、警察官に補導されててしまい。交番で、こっぴどく叱られていたんだ。
子供を捜していたといっても、作り話として信用してもらえない。
学校に連絡がいき、既に君は、見つかった事を知って
それから学校に戻った。
警察官に付き添われて、親や先生に、こっぴどく僕たちは叱られた。
けど、君はこう言った。
「おにいちゃんは、悪くない。お兄ちゃんをいじめるな。
お兄ちゃんは、約束したんだ。見失ったら戻ってくるって、
お兄ちゃんは、自転車をこぎながら、私を探してくれているのを見たんだ。」
僕は驚いていた。、
真剣に探したとはいえない僕を、君は褒めてくれた。。
そのことを泣きながら、先生に訴える君をみて、切ない気持ちになった。
嘘つきなのが自分が恥ずかしくなった。
僕は、その後、君のおもり役を再度願い出て、がんばったんだけど。
家の事情が、あまりよくなくて、僕の非行モードは直ったとはいえなかった。
当時、学校には、使われない教室がいくつかあって、僕はそこをサボりのポイントとして決めていた。
ある日、両親が離婚することで、どちらかを選ばなくいけなくなって、
僕は、一人、授業をサボって、だれも来ない教室で一人で泣いていた。
とても、さみしかった。
孤独だった。
でも男だから涙は誰にも見せたくなかった。
放課後がきて、下校時間になっても、僕はそこに居た。
そんな時、突然君は、現れた。
僕は、泣いた顔をみられまいと必死で隠そうとした。
けれど、泣いていたのは君のほうだった。
下校するのに、いつもの集合場所に僕が居なかったから、必死で僕を探していた君。
君は、直ぐに笑顔をとりもどしたけど・・・
僕は、家に帰ることが、親の喧嘩を想像してしまって、涙がとまらなくなっていた。
僕は、人に涙を見せたくないのに、泣いてしまったことが、
悔しくて、余計に泣いてしまった。
すると、なぜか、君も泣いていた・・・。
子供だから、同情してくれているのか、それとも僕の異常な状態を不安に思い、泣いてるのかは、わからない。
けれど君は、僕が泣いているあいだ、ずっとそばで、頭を撫でてくれた。
そのことは、永遠に忘れられない。
僕のおもり役は、その後終わってしまい、君も強くなって、僕を必要とはしなくなった。
けれど、ずっと、気になっていた。
君を視線で追いかけるようになっていた・・
小学高を卒業して、別々の学校に入り、離れてしまうまで・・・
僕は、この時既にに、恋をしていたのかもしれない。
中学に入っても一日として、君の存在を忘れることができなかった。
高校で知り合った時、姿はだいぶ変わってて最初は気付かなかったけど、
君の名前を知って驚いた。
学年が違ったから、気楽に声をかけることもできないし、
時間だけが過ぎていった。
高校3年になり、進路の事を考えると
また、君と、離れ離れになることに、耐えられなかった。
僕は君に気持ちを伝えようと思ったんだ。
いざ、そうしようとしても、君は、僕の顔も名前も覚えているわけじゃない。
僕は、思い出を話そうと思ったけれど、君が7歳の時だから
もし、忘れているのではないか、と考えたら、とても怖かった。
泣く男なんて、覚えられてたら、みっともなくて嫌だった。
だから、僕は、別の自分に成りきって、君に告白したんだ。
けれど性的な意味合いで君を求めている、その自分が情けないと思った。
風俗のたぐいと、おなじもののように、汚れたもとして連想してしまう。
そういう自分が情けなかった。