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短編 恋愛系 2624文字

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私が、彼に初めて出会ったのは

中学の時の吹奏楽部だ。

彼は、新しく転校して来たようで、今日が入部したての日だそうだ。


だけど、この学校の吹奏楽部は、全てが女子メンバーだった。

ふつうなら、女子しか居ない部活にはいる男子はめずらしいことだ。

どういうことなのか、少し疑問だったが、彼の。

笛の音を聞いたときに、理解した。

彼の技術はとてもすばらしいものだったのだ。

彼は、長年、音楽をやっている、ありとあらゆる音楽に精通していた。


彼とは、たまたま同じクラスになった。

彼は、成績もスポーツも飛びぬけて上手く。

女子に、人気のある人だった。

だけど、あんまり人気があるものだから、男たちからは、いじめられていた。


けれど、彼は、いじめ返すことはなかった。

わたしは、おとこは、プライドで生きているものだと思ってたから、やり返して当然だと思っていた。

だから、やられっぱなしの彼を見た時に、腹が立っていた。


今思えば、腹が立ってたのは、彼の存在価値を私が大きく評価したかったからかもしれない。

彼の音楽の才能は、認めていたし、尊敬もしていたから、彼が馬鹿にされるのは自分自身が馬鹿にされてたような気がしていたのだ。

そのことに気が付かないで、私は彼に、強く言ってしまった。


「男なのにいじめられて、恥ずかしくないの?プライドとかないの?カッコ悪!!」


彼は、言い返した。「どうせ直ぐ転校するから・・・」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は女に興味はない。

と、言っても姓同一性障害というわけでもない。

単に性欲がないのだ。

何かの病気かどうかは、わからない。誰にも相談したことはない。

そもそも、性欲がないからといって、何か生活に問題があるわけでもないから。

特に気にしては居なかった。


けれど、好きな人が居ないという現実は、いつも、僕を疑問にさせた。


僕の父は、有名なピアニストである。

父は、よく、公演まわりをするから、僕もよく、引越しをする。

同じ場所には、せいぜい3ヶ月くらいしかいない。

母がいれば、少し事情は変わるだろうが、母は、5年前に死んでしまって、もう居ない。


「好きな子見つけて結婚してね」

生前、母が言っていた言葉だが、最近、良く思い出す。


僕自身、いつか、好きな子は、出来ると思っていた。

けれど、一向に好きな人はできない。

周りの男友達は、良く好きな人の話題で楽しんでいたけど、まったく判らなかった。


転校を繰り返しているとき、綺麗でかわいい子は、確かにいたけど、結婚というキーワードに結びつくような気持ちにはなれなかった。

僕に特別優しくしてくれる女の人もいたけど、僕の態度が冷たいから、いつも最後は嫌われた。


別に嫌われてもかまわなかった。

親しくなっても、直ぐに転校するから、人間関係に努力するのは、無駄だと思っていた。

そのためか孤立することもあって、いじめられることも頻繁にあった。

やり返しても、問題にされるし、先生に助けを求めても問題にされる。


結局、多忙な父に迷惑が掛かるだけだから、我慢していた。



僕にとっては、それが当たり前の日常だったし、気にはならなかった。

いずれは、尊敬する父の様な音楽家になりたいと思っていたから

できるだけ、余計なことは考えないで、ピアノの練習をしていたかったんだ。


けれど、君は、僕を助けてくれた。

君は、いじめっ子たちを追っ払ってくれた。

だけど僕は、ありがとうも、言わないで、冷たい態度を取った事を覚えている。


ある日、君は、困っていた。

演奏の大会の直前に使い慣れた楽器を壊して、大会に出られなくなっていた。、

同じタイプの楽器はそうそうなかったから、すごく落ち込んでいた。


僕は、君を家に呼んだ。

受けた恩は、返さないと気持ちが悪い。

僕の家には沢山の楽器がにあったから貸してあげた。

僕はたいしたことは、した気はしなかったけど、

君は、とても喜んでいたね。


その後の事は、よく覚えている。

君と他愛もない話をした。

取るに足らないことだったけど、楽しかった。

友達なんて必要ないって思ってた僕は、久しぶりに、友達が出来た気がした。



ある日僕は告白された。

隣のクラスにいる女の子だった。

学校内で一番の美人の女の子だった。

僕はきっぱり断ったのだが、。

君の親友の女の子だとは、知らなかった。


君は、激怒して、僕を問い詰めてきた。

納得いく理由が欲しいのだと君は言った。

もう直ぐ転校するから、という理由では納得してもらえなかった。


僕は、ウンザリしていた。

だから、僕は聞きかえしてやった。

「好き」ってどういう感情?

付き合うって何をするもの?



今思うと、僕が君を好きでいたら良かったんだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は、あいつの、ことがわからない。

理解できなかった私は、あいつとの距離をとった。

気付けば、あいつは、転校してしまっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

16歳になり、高校生活に慣れたころ、

あいつを見つけた。

あいつは、テレビに出ていて、有名人になっていた。

ワイドショーは、彼を若き天才ピアニストとしてとりあげていた。


インタビュー中での質問に彼女居ますか?という質問を投げられて

気のせいか、その時の彼の表情は思いつめたようにみえた。


「彼女は居ません。好きな友人は居ましたけど・・・」


彼がそう答えると、

インタビューアは

「その友人とは、どういう関係ですか?」

彼はうんざりした口調で

「嫌われました・・・」

インタビュアー

「振られたということですか?


彼は怒った口調で、、「いえ、嫌われただけです・・・」


その場の雰囲気が悪くなっているように見えた。

思えば、あの時も、そうだった。

彼はケンカごしに、好きとはどういう意味か聞いてきた。


あらためて考えてみると、答えるのが難しい質問だった。


好きの感情は、理屈じゃないと思っていたし。


聞くこと自体馬鹿らしいことのように思っていた。


けれど、このインタビューへの受け答えを見る限り、

少なくとも、ふざけて言ったようには、思えなくなっていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

~数年後、某大学の一室~ 


「なあ、今度、どんな女レイプする?」

「そうだな、音大の女なんかどうよ?」

「音楽やってる清楚なお嬢様って、そそらないか?」


よし、上手く合コンセッティングしろよ。。。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


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