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グリムという名の飲んだくれ
「飛び出して行ったけど、あいつ大丈夫かな。ああいう奴はよく道に迷うんだよな。」
「ギルドはこの町の中心部にあるんだ。この方角だと大通りを真っ直ぐ行くだけで着く。さすがに迷わないだろ。それに、お前が気にすることじゃない。」
店主は素っ気なく答える。
「まぁ、そうはそうなんだがな。何だか放っとけなくてよ。ああいうバカで純粋そうな奴は。」
「確かに。今時ああいう奴は珍しいな。」
「そうだろ。マスター、あいつの顔を見たか?」
「良い面をしてたな。」
「やる気しかないって顔だぜ、あれはよ。ああいう奴はほっとけない。ほっといたらすぐに死んじまうからな。」
「それは...お前のかつての仲間のようにか?」
「そうだな。きっとそうなるだろう。」
「あれは運が悪かったんだ。」
「人は運に殺されたりしない。俺の仲間を殺したのは冒険者だ。」