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プロローグ
トンネルから出ると、そこには笑顔で話し合っている生徒がいた。
必死の形相で出てきた二人に、「あれ、どうしたのー?」「てか先生どこ行った?」と話しかけ、たわいのない話に耽っているクラスメイトが。
出口から出てきた少年と少女は乱れた息を整える。口を開こうとして、そして――。
「ウオオオオオオオオオッ!!!!」
背後から、この場を震わすための咆哮が響いた。
この世のものとは思えない、バケモノの絶叫が。
彼らは知らなかった。
いや、殆どの人々が知らない、一部で語られている噂話があった。
『レベル0のダンジョンにバケモノが眠っている』
聞いたものは、そんなの嘘だといって信じなく、
実際に見たものは、レベルの違いに圧倒され、もうこの世にはいない。
だけど、その噂はこの日、この時。
一人の先生と、三十六人もの生徒が食べられ、死亡したことにより――
誰もが知る真実となった。