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第7話

 鏡の前で何度もチェックした後、馬車に揺られてお城に向かう。


 私の心は悲壮感いっぱい。馬車の中なのにお花畑が広がっている……あら? 子供の天使が羽をぱたつかせこちらへ……。


 私は……寿命かしら。頭がくらくらする。お付きのメイドが「モリシス様! いくら嬉しいからってうかれてトロンとした不気味な顔をするのは止めてください!」と諌める。


 私がはっとしたときには門をくぐり抜けお城内へと。白を基調とした豪奢なお城。財産豊富……そんな感じ。


 鎧を身に付けた兵士たちも何十人も居る。やはり王族の住まう場所。


 庭は広々としていて下草は綺麗に刈られ、赤、青、紫と花が場のムードを盛り上げてくれる。


 私のテンションはだだ下がりだ。ビュッフェ形式の茶会だったのでお皿にクロワッサンや黒いクッキーを乗せやけ食い。


 あら、このクッキーけっこいけるわ。あらま、クロワッサンも。ヤバい食べ過ぎそうで。


 私がモシャモシャと豪快に食べオレンジジュースをごくごく。ぷはー。


「私はぷはーと言う人を初めて見ましたよ。やあ、モリシス。お久しぶりです。何度か貴方のお家に遊びに行ったのですが、なぜか疾病にちょうど罹患していたり、女の子の日で会えなかったのです」


 私は顔面蒼白になった。その発言をしたのが美しい笑顔の、恐れていた攻略対象キャラであり私の婚約者オルストラスだったためだ。


 私はテーブルに皿などを置き、お口をハンカチでふきふきした後スカートの端を持ちひきつった笑顔で「オルストラス様、こんにちは。今日はお茶会に誘っていただきありがとうございます」と口にした。


 オルストラスは気軽に近づいてきて私の肩ををぽんぼんしつつ「まあ、そうかたくならずに。私たちは婚約者なのですから……」と言う。


 私はだんだんイラついてきた。この美形に殺されるのかと思うと憎々しい。一言居士。私は目をつり上げこう言葉を放った。


「キモいから触らないで!」


 それにポカンとした彼は手を離し数秒してなぜか照れ笑いをしてこう言葉を投げ掛ける。


「私にそんなことを言った人も初めてです! ドキッとしたのでもう一度お願いします!」


 なんか目をキラキラさせてお願いした。私はこの美形はドMなのだと思い出した。


 結果として彼との距離を近づけてしまった。失策だ。あーあ……。


 帰宅したときにはどっと神経が疲弊していた。ドM王子は金魚のフンみたいに私につきまとい罵声を何度も求めてきたためだ。


 ったくあのドMは……。

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