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第5話

 最近、私の父が買った貴族くじ(宝くじの当籤金の凄い版)。それの一つが一等に当籤してしまった。


 パッとみはリッチになっていいことだ。それは分かる。まあ、宝くじで身を滅ぼした人もいるらしいけど……。


 私は喜んだ父から多額のお小遣いを貰い歓喜した。しかし母は不安顔。別にお小遣いのことではない。


 身代金目当ての誘拐の方だ。我が家の財産が数十倍になったのだ狙われる確率だって数十倍に……いや詳しくは分からないけどね。


 そんなことで外出時は護衛が十五人に達した。これはいくらなんでも多いだろうと思いつつぬけるような青空のもと書店へ向かう。


 なんか、体躯の大きな強者たちに囲まれて落ち着かないわ。たかが本を買うだけなのに……。


 私たちは目立っていた。街の人々が目を止めこちらを見つめてくる。なんか恥ずかしいわね。


 身なりも気にしているから失笑などはないだろうけど……。


 母により水色のじみめなドレスを着ている。一応は貴族らしいがそれほど高いものを身につけているわけではない。


 こんな奇異な目で見られるなら本は今度から買ってきてもらおう。そう思った。


 そんな時、鎧をガチャつかせる護衛のリーダーがこう言った。ロッククライミングするかのように険しい表情で。


「モリシス様、我々の後ろへ避難を! 賊です!」


 私は人生最大の危機に面していた。いかにも悪漢といった男たちが四十人ほどこちらに向かってくる。どいつもこいつも身なりが貧しい。


 誰かに雇われたか、どうかしたかだろう。相手の巨漢が槍を一閃させ肩をポンポンやった後こう口にした。


「令嬢を渡してもらおう! 死にたくないなら護衛どもは邪魔するな!」


 そこから激しい戦いが始まった。数では負けているが腕はこちらの方が上らしい。優勢になっていく。


 そこで一人のまだ二十歳ぐらいの護衛君に「モリシス様、こちらへ」と誘われ味方から少し離れた。


 その護衛君は後四、五人になった賊を一瞥し、護衛たちにこう言葉を放つ。


「おい! この高慢令嬢の命が大事なら武器を捨てろ!」


 ぴくぴくりん。私の耳が動く。な、なんですって……! そんな私の首に実は賊の仲間だったらしい護衛君がダガーの刃を当てた。


 護衛たちは顔面蒼白。次々武器を捨てる。ガチャガチャ武器たちの悲鳴が地面からあがる。私を掴んでいる賊はせせら笑いしゃーしゃーとこう言葉を放った。


「よしよし、それならこの高慢令嬢の……」


 そこから先は言わせなかった。私がその賊の背中に手をあて力ある言葉を放ったためだ。


「高慢令嬢で悪かったわね! これでもくらいなさい! メテロス!」


 私の手からバチバチと音を弾ませ雷の線が私を掴んでいる奴の背中を這う。そいつは「ぐげげげ!!」と言いつつ倒れた。地面に倒れた後はピクピク痙攣しつつ意識を失ったようだ。


 手加減してあげたんだから感謝しなさいよね。

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