初めての戦闘?
危なかった~!
ノーマンが私の体を抱き締めている。
痛い!非常に痛い!
嬉しいのは分かるがちょっとは手加減してくれ。
まったくどうしてこうなったのか?
「あれは、大狼だ!」
ノーマンの言葉にビクッとする。
大狼?狼だって~。
なんでそんなのが居るんだよ?
なんかキラキラして綺麗だなぁ~と思っていたら、狼かよ!
ノーマンが剣を抜いたので自分も慌てて剣を抜く。
ノーマンは愛用のブロードソードを私はショートソードを、剣が自由に触れるように距離を取る。
しかし、大狼デカイ!
見た限りだと体長三メートルくらいはある。
あ、あんなのと、戦うのか?
すでに足は震えて剣を持つ手もおぼつかない。
仕方ないので右手で剣を持ち、左手を右手に添える。
奥歯がガチガチとなるので思いっきり歯を噛み締める。
恐怖だ!
体を悪寒が襲う。
本やゲーム、アニメの主人公はある時は嬉々として、ある時は恐怖して目の前の敵と対峙して、相手を倒す。
凄く簡単に。
最近のアニメにも恐怖を乗り越えながら敵を倒す描写があるが。
私には無理!
だって体が思いっきり戦うのを拒否してる。
しかも、相手は狼ですよ?狼!
頼むノーマン、なんとかしてくれ!
もうリア充爆発しろとか、死ねば良いのにとか思ったりしないから。
しかし、ノーマンはミスった!
ウワー、どうするんだ。これ!
ドウスルンダ、オレ?
もう目の前には大きくお口を開けた狼がアーンってして飛びかかって来ている。
オレは美味しくない。
断じて、美味しくない!
死、死にたくない!
咄嗟に剣を前につき出す。
しかし、腰が引けてへっぴり腰だ。
第三者が観ていたら思わず笑いが出るかもしれない。
しかし笑われてもいい!
私は生きたいんだ!
剣を突き出した瞬間、私は目を閉じる。
恐くて目を開けられなかった。
剣に手応えはない?
それもそのはず、剣が何かに当たった瞬間、私は剣を放してしまっていた。
私の体に狼が覆い被さる。
私は剣を放してしりもちを付いていた。
そのおかげで直撃を回避していたようだ。
狼は動かない?
私は目を瞑ったまま、足下にある予備のダガーに手をかける。
ダガーを手にして私と狼の僅かの隙間にダガーを突き刺す。
突き刺す、何度も、何度も、何度も。
体に狼の帰り血を浴びるが構わず突き刺す!
何度突き刺したかわからないが。
狼が私に、体重を預ける。
おっ、重い!
狼は体は暖かいが動く感じがしない?
私は狼から、抜け出す。
マジ重い!息苦しい。
やっとのことで狼から這い出ると少し離れた所で、号泣しているノーマンの姿が。
思わず声をかける。
「大丈夫ですか?父さん。」
そして抱き付かれている。
本当にこの人は強いのか、そうじゃないのかわからない。
少々呆れながらノーマンの頭をポンポンと叩く。
「良かった。良かった~」
これではどっちが父親かわからない?
ふと、目の前を見ると小さい子犬がいた。
いや、違う。
子犬じゃない?
大狼の子どもだ!
ちなみに私はこの時、失禁していた。