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剣王祭?

 ダグラ傭兵団はダッカの街を出ていった。


 ちなみに私の掛け金はドッチがローレックに渡していた。


「いや~、もらえるもんは貰っとくよ。ありがとな、ダン♪」


 いや当初は渡すつもりだったけど、でもね~。

 そして今更金返せとも言えない自分がいる。

 だってね~。


「ありがとう、お兄ちゃん♪」


 娘さん達にお礼を言われ更に


「これ、あげる 」


 下の娘さんが花飾りを両手で持って、んって感じで渡すのである!


 か、かわいい‼


 く、かわいいは正義だ!


 私は花飾りを無言で受け取った。



「可愛かった」


「そうだな」


「また、会いたい」


「そうだな」


 移動する馬車の中で、ローレック親子との別れをレティと語らっていた。

 半分以上聞いてなかったが。


 ダグラ傭兵団の次なる目的地はサウスラウス三大都市の一つ


「メザス」


 一年間の興行中の間、メザスに立ち寄ったことはなかった。

 だが、今回立ち寄ったのには目的がある。


「剣王祭」


 三年に一度、開かれる剣闘祭である。

 サウスラウスのみならず近隣国の強者達がこの祭に参加する。

 これによりメザスはいつも以上に活気に溢れていた。


 剣王祭はメザスのみで開かれる大事な行事だ。

 この大会の優勝者には剣王の称号と莫大な賞金が与えられる。

 最も参加者は賞金よりも称号のほうが目的ではある。

 サウスラウスで行われる剣闘興行は最終的にこの大会に行き着くのだ。

 当然、前回の優勝者である剣王も参加する。


 この一代興行にダグラ傭兵団も参加する。

 剣王祭に関わる費用は莫大な金額になる。

 それを商魂たくましいダグラが逃すはずがない。


 そして私は、当代の剣王を間近で見られるので内心楽しみにしていた。


 私が出るのはこの大会の前座である。


 絶対、安全とは言えないが剣王祭に参加するよりは安心できた。


 剣王祭は、参加者のレベルが高い。

 聞いた話では各都市の高名な剣闘士や、この大会にのみ参加する各国の騎士等、腕自慢がわんさか参加するのだ。

 そんな大会に参加なんて考えただけで寒気がする。

 だが、今回は大丈夫だ。

 そもそも奴隷には参加資格がないのだ。

 若干、例外はあるが私が出ることはない。

 レティが出る可能性はあるが多分ないだろう。


 だから、今回は少し浮かれていた。


 この大会を見学して今後の戦い方の参考にしようと思っていた。



 そして活気道溢れる街メザスにダグラ傭兵団もやって来た。


「すごい!人、人、人がたくさんだ」


「気持ち、悪い」


「こんなにたくさんの人を見たのは、はじめてだ」


 いつも剣闘でたくさんの人だかりを見たことのある私達ではあるが、馬車が通れないほどのたくさんの人だかりは初めてだった。

 この人だかりを見て気分が高揚していた。


 そのはずが………


 街に入る前から、人、人、人の山だ。

 いや、この場合人の波というのか。

 たくさんの人達がメザスに向けて集まっていたのである。

 街に入るのにも苦労したが入った後も大変だった。

 宿に着くまでも時間がかかり、レティはたくさんの人を見て気分を悪くし、私もかなり疲れていた。

 あまりの人の多さにめまいがするほどだった。


 そんな私達をよそに他の団員はケロッとしていた。

 何事もないように黙々と荷物を運び出す姿が眩しかった。

 慣れというのは、恐ろしい。


 そしてこの人波に慣れていない私は田舎者だと気づかされる。


 街に入る前の高揚していた気分も、街に入った後はきれいさっぱりなくなっていた。

 ただただ疲労感があるのみでぐったりした。

 割り当てられた部屋のベッドに横になっていたら、ドッチがやって来た。


 そんなぐったりとしていた私を見てドッチは苦笑して言ったのだ。


「今度の剣王祭に、君も出るんだ。ダン」


「はい?」


「剣王祭だよ。わかるね」


「本当、ですか?」


「そうだよ。頑張りたまえ」


 言うこと言ったドッチはすたすたと私の前から去って行った。


 剣王祭に出る。


 正に、死刑宣告だった!



 剣王祭に出る通告を受けたあと、少し呆然としていたが。


「ちょ、ちょっと、ちょっと待って」


 私は急いでドッチを追いかけた。


「何ですか?」


 ドッチには直ぐに追い付くことができた。


「な、なんで、なんで俺が………、なんで俺が、剣王祭に! そもそも奴隷には参加資格なんてないのに!」


 俺は、勢いでドッチを問い詰めていた。

 普段はこんなこと絶対にしないが、今回は事が事だけに、どうしても確認しておかなければと思ったのだ。


 ドッチは慌てることなく淡々と説明してくれた。


「参加資格なら問題ありません。予選の予選から出てもらいますから」


 奴隷が剣王祭に出る為には予選から出なくてはいけない。

 しかも、予選に出る為の予選から出るのだ。

 日程的につらく、またほぼ毎日、更に日に何回も試合に出なくてはならない。

 正に、死の予選である!


「そんな!なんでですか!見世物の前座に出るだけだって、以前言ったじゃないですか?なんで!」


 なんで俺がその死の予選に出ないといけないのだ!


 いくらなんでもおかしすぎる!


「あー、その事ですが、ダンくん」


 ドッチはいかにも気の毒そうに私を見て


「君の試合が組めなかったんですよ」


「く、組めないって!そんな!」


「しょうがないんですよ。相手側が組みたくないと言ってね。こっちも困ってるんですよ」


 全然、困った感じのしない応えを聞いて。


 組めないはずがないだろ!

 嘘に決まっている!


 と言葉に出すのを一瞬堪えて、喉の奥に引っ込める。

 私の不満の表情を見たであろうドッチは


「君が悪いんですよ。君が」


「は、俺ですか?」


 なんで俺が悪いんだよ!


 言い返してやりたいが、我慢する。


「君の試合は、地味なんですよ。華がないし、組んでも先方が満足しないんですよ」


「そんな、そんな事言われても……」


 答えに困る。

 戦い方に不満が有ってもこっちは必死なんだ。

 確かに誉めらる戦い方じゃないかもしれないけど。


「結果としては、君はこの一年。すべての試合で勝っている。

 素晴らしい結果だ! でも、一方ではよくないんだよ。

 観客の受けがよくない。君も分かるだろう?」


 観客の受けか?

 そんなこと、考えもしなかった?

 ただ、生き残る。

 そして、なるべく人を殺さないように戦って来たのだ。

 確かに、華のある戦い方じゃない。

 でも、だからといって。


「こっちだって、必死に」


 抗弁しようとするとドッチが被せるように答える。


「こっちとしては、無駄飯を食わせられないですからね。予選からですが、多少は稼げますから出てもらいますよ!頑張ってください」


 頑張れって、そんな!


 言い返したいが、何も言えず、頭を垂れる。

 涙が出そうだ。


 いつも、いつも、厄介事、理不尽な事は有ったが、今回は飛びきりだ!


 生き残れるはずがない!


 必死でやって来たのに、最後がこれかよ!


 ああ、ダメだ。


 涙が出てきた。


 我慢したのに、ダメだ。


 もう、ダメだ。


 終わりなんだな。


 私の、人生。



「ああ、ダンくん。一様言っておくけど」


「な、なんで、すか?」


 涙を流しながら、答えた。

 多少、鼻声になったかもしれない。


「本選に残って、一回でも勝ち越せば奴隷から開放されるから」


 奴隷から、………開放?


「何、言って……」


「私達だってオーガじゃないよ。ちゃんと人だからね。機会を与えるよ。約束だ!」


 そう言ってドッチは去って行った。


 奴隷から開放?


 成人前に、開放される。


 本当に…………


 信じたいが、信じられない。


 でも、本当なら………

 

 やってやる!


 殺ってやるぞ!


 生き残る!


 必ず、生き残るぞ!


 奴隷からの開放、必ず掴み取ってやる!


 このクソッタレな状況から抜け出しやる!


 必ずだ!


 必ず!



 私の中に、怒りにも似た、黒い感情が満ちていた。



 決意を新たにした翌日から予選は始まった。


 場所は郊外にある一画。

 観客席もない。

 木の板に挟まれた狭い空間。

 一対一で向き合い。

 裁定者はいない。

 見届け人はいるが掛けが成立しないこの戦いは、篩だ!

 予選の予選でも一攫千金を狙う者、自由を求める者。

 思いは参加者の数だけ存在する。


 その中に、私もいる。

 今回はただ生き残るだけの戦いじゃない。

 自由が掛かっている!

 成人迄生き残ることだけが目標だったが。

 その目標が、自由が、この大会に掛かっている。

 いつもの試合の緊張感はない。

 在るのは力を早く解き放ちたい、その焦燥だけだ。


 裁定者が、審判がいないこの予選。

 見届け人のいるこの試合の裁定はどっちかが、参ったをするか?

 戦闘不能になるか?のデスマッチだ!


 私の中にある黒い感情が囁く。

 迷うな?

 殺せ!

 奪え!

 早く解き放てと。


 心がざわつく、本当に今迄にないこの感じ。

 これは、なんだろうか?


 わからない?

 わからないが、悪くない!


 私は初めて戦いの前に、笑みを浮かべていた。


 そんな気がする……

 


 そしてローレックとの戦いでの反省を生かそうにも、今回は時間が無い。

 でも準備期間は無かったが戦意は今迄の中で最高潮に高まっていた。


「死ねよ!死ね!死ね!死ね!」


 対戦相手も私と同じように後の無い者達ばかり。

 殺気に溢れたその姿は、中々におぞましい姿だった。

 それは私も同じかも知れないが。


「俺は、勝たなきゃならないんだ!早く死ねよ!」


 自分の内面を表すかのように向かってくる対戦者。

 構えもそこそこに遮二無二に突っ込んでくる。

 醜い、本当に醜い姿だ。


「自由だ!自由になるんだ!家族の元に帰るんだ!」


 己の願望をむき出しに剣を持ち、相手の身体に、突き刺し、叩き込み、吹き飛ばす。

 倒れても起き上がり、意識ある限り向かってくる。


「まだ、まだおわっ、て、な……」


 対戦者に、止めを刺す。


 何の感情も、湧いてこない?


 ただ、冷静に事を成しただけ。


 こんなものか?


 簡単だな。


 そう感じた……



 私は頭を振り払う。


 明日は、我が身だ。


 感傷に浸る必要もない。


 今は、ただ、予選を勝ち抜く。


 勝ち方に文句が有るなら、無くせばいい。


 容赦などしない。


 冷静に、冷酷に、今はこのどす黒い感情に身を任せる。


 勝てばいい、殺せばいい、ここはそうゆう世界なんだ!


「こわい」


「誰が?」


「ダン 」


「俺が?」


「自由になりたい?」


「今更何を? 当然だろ!」


「でも?」


「今迄が、甘かったんだ!人を殺すのを躊躇してた。いつの間にか上から戦ってた。レティに言われた通りだ!もっとまともに戦って居れば良かった」


「今は、余裕ない」


「余裕?有るわけ無いだろ!勝たなきゃ!殺さなきゃ!前に進まないだろ!」


「ダン?おかしい?」


「ほっといてくれ!」


 レティは私を心配して声をかけてくれたが私は突き放した。

 今の私には余裕など無い。

 有るのは焦燥と苛立ち、それとは別に満足感が少しある。


 いや、満足じゃない。

 これは、なんと言うのだろう?

 充足感?

 違うな。

 少しだけだが私の中に何かが残って行く。

 なんだろう、これは?


 答えは出せないが、不快ではない?

 なら、深く考えるのは止めよう。


 予選は、始まったばかりだ!


 次も勝つ!


 その次も勝つ!


 その次も、その次も。


 私を俺を否定するこの場所、この世界にせいぜい抗ってやる!



 そして、自由を手にする!


 その為に誰かが死んでも構うものか!


 俺の両手は、もう、血塗れなのだから……



 剣王祭の予選は続く。


 私は今迄の鬱憤を晴らすかのように相手を殺して、勝ち上がっていた。

 頭の中は黒い感情で埋め尽くされ、慈悲を乞う声も無視して、淡々と命を刈り取っていった。

 罪悪感や嫌悪感を感じることもなく、不快感もない。

 自分でもなぜこうも簡単に事をなせるのか。

 不思議ではあるが、違和感はない。


 これはおそらく前世の価値観が、モラルが、影響しているのだろうか?


 考えても、答えなど出ない。


 今は勝ち残り本選に出ることだけを考えよう。


 私はそう考え、そして、実行していった。


 連日の試合は精神的な疲労より肉体的な疲労が大きかった。

 精神は勝ち上がることで維持できたが、肉体の疲労は試合を行う度に増していく。

 勝ち上がる度に試合時間が伸びるのだ!

 相手の実力が上がるのもあるが何よりもしぶとく、粘る。

 勝てそうもないのに、諦めず向かってくるの奴ら。


 時間の無駄なのになぜわからない?


 私は鬱陶しく感じながらも、或いは弱者をいたぶるかのように止めを刺していた。


 以前の私の戦い方を知っている者は、私の変貌に眉を潜めることはなかった。

 それよりも変貌した私を歓迎していた。


「なんだ。やれば出来るじゃないか?」


「今迄がまどろっこしかったんだ。もっと殺れ」


「もっといたぶれよ?早く終わったらつまらないだろう?」


 外野は良いな適当なことが言えて、こっちはそんな単純じゃないのに?


 いや、単純なのか?


 今迄が良い子ちゃんだっただけに、暴力に身を任せるのは、簡単だ。


 このままで、良いのか?


 力を振りかざすことに、身を任せて良いのか?


 まだ迷いが、自分の中にある。



 この予選の間苦戦するのはおろか、傷を負うことさえなかった。


 私はやっと自分が他者よりも強いことを自覚できた。


 強さを自覚できると、精神的には楽になる。


 自分より強い者は、いない。


 全能感さえ感じる。


 だが、私より強い者は、存在する。


 レティである!



 彼女は予選の前座を務めている。


 客の盛り上がりの為の前座。


 茶番である。


 だが、相手は1人ではない。


 3人から5人を相手にして、無傷。


 しかも、殺さない。


 相手を前にして怯えることも怯むこともない。

 自分に絶対の自信を持ち力を行使する。


 羨ましい。


 自分も彼女のように在りたい!


 純粋にそう思う。


 私も彼女ように自分の力に自信が持てたら、何か違うのだろか?


 私と彼女の違い、闘気を使えること以外に何が?


 私は、私より強いレティに嫉妬していた。


 目の前にいる彼女を倒せれば本選で勝てる。


 今迄の、甘い自分ではない。


 今の私なら、彼女に勝てる!


 かも、しれない?



 予選を勝ち上がり時間が少し出来た私は、肉体の疲労を癒す事よりも彼女との稽古を優先した。



 結果、惨敗である。


 何度立ち向かっても、何度も、何度も、地に叩きつけられる。


 諦めずに立ち上がり、目の前の彼女に向かって行く。


 これでは予選の相手と同じだな?


 そして私は死ぬのか?


 二度目の人生を楽しむこともなく、戦いたくもないのに、戦わされ死ぬのか?


 そんな人生、まっぴらゴメンだ!


 足掻いて、足掻いて、必ず自由なる!


 自由に生きるんだ!


 今度こそ!


 黒い感情が、少しずつなくなって行く。



 上には、上がいる。


 彼女は闘気を使わずに私を圧倒していた。


 改めて思い知らされる。


 自分が、まだ弱いということを。


 感情に任せた戦い方は強者の前には通用しない事を、彼女の剣が教えてくれた。


 私は立ち上がり剣を彼女に向ける。


 彼女は無言で私の相手をしてくれた。


 思い上がった私を完膚なきまでに打ちのめして。



「気がすんだ?」


 大の字になって寝転んでいる私を上から覗きこむレティ。

 その顔はいつもの無表情だったが、口調は少しだけ気に掛けているように感じた。


 私は、何も答えず心の中は悔しさで満ちていた。


 八つ当たり。


 以前の彼女と同じだった。


 違うのは、彼女は自分で立ち直り、私は……


 情けない。


 この一言に尽きる。


 私は立ち上がり、彼女に礼を言う。


「すまなかった。………ありがとう」


「良かった」


 はぁ、ため息が漏れる。


 少しだけ、気が晴れた。



 剣王祭、予選の予選が終わった。


 私は無事に通過を果たした。


 これからが本番。


 心のモヤモヤは残っているが、試合の相手に叩きつけることはもうないだろう。

 但し、手を抜くわけではない。

 今までのように小手先の魔術を使わず、体術、剣術を使って戦う。


 前の私は自分の力を信じられず、楽に勝つことばかりしていた。

 ローリスク、それが私のスタイル。

 それが悪い訳ではないがいつか行き詰まる。


 そう思っても中々戦い方は変えられない。


 だが、それでは先に進まない。


 予選の予選ではがむしゃらに力を振るっただけ。


 それで勝てたが本選前の予選は違う。


 予選の予選で出てくる相手は、私のような奴隷や、後の無い者達で本当の戦い方を知っている者は少ない。


 これからの予選は自分の腕に自信の有るもの達ばかり。


 頭に血が上った状態では勝てない。


 もっと、何か?

 何かが欲しい!

 でも、無いものはない!


 開き直るか?


 本選前の予選では、審議役がつくし降参も出来る。


 その後、何か理由を付けて殺されるかもしれないがその時は大規模上級魔術でも使って悪あがきしてやる!


 殺される前に、殺してやる!


 ダグラを直接殺すと契約で動けなくなるほどの激痛を受けるので、奴を人質にして契約を破棄させるか?


 うん、悪くないか?


 でもその後は?


 行き当たりばったりか?


 うーん、保留だな。


 その時は、その時で動くか!


 うん、そうしよう、そうしよう。


 まずは、予選で勝ち抜く!


 これに集中しよう!


 そう思うと心が軽くなったような気がする。


 我ながら単純である。


 開き直りは必要だな、うん。



 そして、予選が終わる。


 さして苦戦することもなく呆気なく通ってしまった?


 今まで心労は何だったんだ!


 すいすい進む予選。

 強者と呼べない参加者。

 なんて中途半端な大会だ?

 心配のし過ぎだったのか?


 私の覚悟を返せ!


 叫びたい衝動を押さえながらも、内心は喜びで溢れていた。


 フフ、これは案外楽勝か?


 本選で一勝はもう目の前。

 自由はすぐそこに、目の前に!

 辛かった試合もこれが最後。

 それを思うと感慨深い。


 おお、そうだ!


 ドッチに確約をしておかないとな!


 実は出来ないとか言われないように、ちゃんと契約して置かないと。



「予選通過、おめでとう」


「ど、どうも、あのドッチさん。この前のことですが?」


「開放のことか。大丈夫。約束は守るよ。なんなら書類にしてもいい」


「本当ですか!お願いします」


 やった!向こうから言ってきた。


 うやむやにされたらどうしようと思った。


 これで試合に集中できる!


「ああ、用意しよう。ところで本選の相手だけど?」


「相手が何か?」


 私は内面の嬉しさを隠して。

 たぶん、隠しきれてないと思うが問い返す。


「前回、前々回の剣王が相手だ。死なないように頑張るんだな?」


「は?」


 ドッチは笑顔で私に死刑宣告を話した。


 その笑顔を、私は忘れない。



感想、誤字、脱字など、ご報告くださいましたら、うれしく思います。

お読みいただきありがとうございます。

応援よろしくお願いいたします。


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