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天才、その名は?

 天才は存在する。


 前世で天才と呼ばれる人はいるが、私は会ったことがない。

 会いたいとも思わなかったが。


 この世界に来て私は天才に出会った。

 いや、才能の塊に会ったというべきだろう。


 その人物は、ノーマンだった!


 ノーマンは無駄に能力の高い男だ。

 マーサから聞いた話だが、普通は剣も魔法も高いレベルでバランスの取れた人物は存在しないそうだ。


 だが、ノーマンは剣も魔法も出来る。

 不得手が存在しない。

 料理や、掃除、洗濯は出来ないが剣は、竜王剣をほぼ習得、魔法は上級をほぼマスターし、一部上級を越える魔法も使える。

 以前は治癒魔法も使えたそうだが現在は使い方を忘れたそうだ。


 使い方を忘れるってどうよ!


 訳を聞くと冒険者に成る前に高度な治癒魔法を使えたが、騎士に成るまでにはほぼ使わなかったそうで、回復は他の冒険者マーサに任せていたので忘れたそうだ。


 治癒魔法って、とっても重要ですよね!

 それを使わなかったから忘れるってどうよ!

 それに忘れてなかったら俺のケガも直せたんじゃ。

 それを問い詰めると、


「あっ、そうか。そうだよなぁ~」


 ごめん、ごめんっと笑ってごまかした。


 笑ってごまかすな!

 こっちは死にかけたんだぞ!


 万事このとおり、適当な男なのだ。


 だが、戦闘力は高い!無駄に高い!

 竜王剣は王国では一般的な剣法だが、私のように型は覚えられるが、そこから先が進めない者が多い。

 そのへんのことを元冒険者で、ノーマンの従者のエルクが教えてくれた。


 そうか、私だけじゃない。

 皆出来なのか。

 そうか、そうか、そうなんだ。

 それを聞いた私は少し安心した。

 て言うか、竜王剣って剣の才能が無いと使えない剣法ってことだよね?

 そんな疑問も、エルクが答えてくれた。


 エルク曰く、竜王剣は実戦的な剣法であり身体強化や、斬撃強化がなくても充分使える剣法である。

 但し、竜王剣の本来の使い方が出来れば竜をも倒せるらしい?


 私は竜を倒すつもりも無いし、まして竜に会いたいとも思わない。


 そんな竜王剣が使えるノーマンは凄いらしい?


 確かに、ノーマンは強い。

 そして、カッコいい。

 そして、どこか抜けている。


 しかしそんなノーマンすら超える存在がいた。


 ノーマンの祖父である!


 ノーマンは戦闘に関することのすべてを祖父から教わったらしい。

 そして祖父はノーマンよりも強かったらしい?


 また、らしいらしい?でハッキリしないのかって、

 だってしょうがないじゃん。

 ノーマンがそう言うんだから。


 ただノーマンの祖父、私のひいおじいさんはノーマンよりも有名な冒険者で今でも有名らしい?

 私は知らないよ。

 ノーマンが言うんだから。


 ひいおじいさんはもう亡くなったが色々な逸話が残っている。


 例えば、竜を独りで退治しに行き竜と友達になったっとか?

 素手で数百人の兵士を殴り倒したとか?

 魔法で大雨を降らして干ばつに喘ぐ村や街を救ったっとか?

 極めつけは前国王の就任に深く関わったっとか?

 そんな話が残っているそうだ。


 有りと言えば有りな話だが、ひいおじいさんはこの世界のチートな存在なのかもしれない。


 ちなみに、ひいおじいさんは剣や、魔法は、誰かが使っているのを見よう見まねで習得したらしい?


 そんなはず無いよな?

 そんなのおかしいって誰か師匠がいたんでしょ?

 そうだよねノーマン?


「いや~師匠がいたなんて聞いたこと無いなぁ~」


 どんだけチートなんだよひいおじいさん!


 そして、そんなじいさんに教わったノーマンもやっぱりおかしい。

 なんてデタラメな家系なんだ!

 ノーマンは天才だ、認めよう。

 しかも、ひいおじいさんも天才だ!

 会ったことはないが。

 逸話はノーマンがかなり持ったかもしれないが?


 しかし、薄々気づいていたがノーマンの凄さと私の中途半端な才能、この差はなんだ!


 異世界に転生したなら普通は俺様最強とか、チート能力有りまくりで強敵なんて存在しない。

 世界は俺様を中心に回っている!


 ハハハハ、ハッハハハハー、みたいな感じになるはずなんですけど?


 なんか、ノーマンの方が主役で私はそれの残りカスみたいな?


 駄目だ、考えるな。

 そんなことは無い。

 そんなことはないはずだ!


 落ち着けオレ、大丈夫だ、大丈夫だよな?


 主役は私ですよね。

 そうですよね?

 いかん、いかん。

 転生出来ただけでもラッキーじゃないか!


 そうだよ、そうなんだよ!


 そして無理やり納得する。


 だが、私の近くにはまだチートな人は存在する!


 初めての狩り事件以降、私の狩りにマーサとシルヴァが同行することになった。


 ノーマンが何か言いたそうにしていたがマーサが『たまには、母子で狩りもいいでしょ』とマーサが勝ち誇った顔でノーマンに言う。


 ノーマンは何も言えず悔しそうに私達を見送る。

 まさに敗者ですな。ノーマン


 近くの森に入る。

 マーサの装備は愛用の複合弓とショートソードに、革の胸当て、そしてパンツ姿に革のブーツ。

 髪は後ろに束ねて、ポニーテール!


 いかんいかんいかん!!

 モロに私の好みなんですが!?


 式即是式、式即是空?いかん、いかん!なんか字が違う?


 落ち着けオレ!


 落ち着く為にもう一度、むにゃむにゃ~。


 よし、大丈夫だ!


 等と私が馬鹿なことをやっている間に、シルヴァが獲物発見!


 約200メートル先に『バルボア』を発見!


 バルボアは猪が魔物化した物。

 体長約2メートルほどの大物。

 習性はほぼ猪と同じ雑食で何でも食べる。

 もちろん人間も食べる。

 一度敵と認識した物は体力の続く限り追いかける執拗牲。


 まだ、向こうは気づいていないようだ。


 地面に顔を突っ込んでいる。

 食事中か?


 ふと、マーサを見るとおもむろに弓を構え、矢をつがえて射る。


 早い、早いよ!マーサ!


 見ると矢が命中!

 バルボアが倒れる。

 倒れる?

 矢が一発刺さっただけですよ?

 なんで、倒れる?


 私が固まっているとシルヴァはバルボアに突進。


 ちょっ、待っ。


「さっ、行くわよ」


 えっ、『行くわよ』じゃないでしょそうでしょ?マーサさん!


 私の手を掴みバルボアの所に連れて行く。


 エー、チョットマッテクダサーイ。


 あまりの展開に頭がついていかない。


 バルボアの倒れている所に到着。

 辺りはバルボアの血でいっぱい。

 シルヴァは周囲を警戒している。

 私が立ち尽くしていると、マーサがバルボアの血抜きをしようと近寄る。


 えっマジで死んでんのこれ?


 びくびくと痙攣しているバルボア。


「あら、まだ生きてるわねこれ?」


 マーサはショートソードで止めを差す。

 そして何事も無いように血抜きを始める。

 私は恐る恐るバルボアに近寄る。


 そして私は見た!


 バルボアの体を直径五センチの穴が空いているのを。

 そして矢が無い!

 回りを見渡すが矢が無い。

 穴は体の反対側が見える。

 貫通している!


 マーサを見る。

 あら、気づいた、という顔。

 貴女もですかマーサさん!!


 ドウナッテンノ、ワタシノマワリ?


 しばし茫然とする私。


 ノーマンとマーサ。


 チートな両親を私は越えることが出来るだろうか?


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