見つかった原因
直ちに外交ルートで両国に確認を取ります。
幸いにも現在日本は両国ともと比較的良好な関係を保っています。
ホットラインで連絡をします。
どちらも凄く混乱して怒っているようです。
しかし不思議なことに両国の言い分はほぼ一致していました。
「あいつらが突然売ってきたんだ、こっちは何もしていない。」
「いや、日本側では発射準備は見えているが、一発も発射されては居ないように見える。」
「そんなわけはない、こちらはレーダでも人工衛星でも確認している。こんな話をしている場合じゃない、切るぞ。」
もし我々の監視網が見落としたのでなければ、二つの超大国が幻のミサイルに襲われているという事に成ります。
「ネットワークのログ分析を、両国のシステムへの攻撃ログは無いか?」
日本が誇るSF風ログ監視システムが起動し、メインモニターに映ります。
よし、両国双方へアクセスしている通信を抽出、先ほど異常を検出した12:15から前にさかのぼっていってくれ。
映像が変化して行きます。2日前まで遡ると、そのタイミングまで両国に通信していてそのタイミングからピタリとやんだ通信が見つかりました。
「なんと言うことだ…2日も前に仕込まれていたのに誰も気づいていなかったのか。」
そのとき、東側の国からのホットラインが向こうから掛けられてきました。
「やられた、コンピュータシステムが侵入されていたんだ。我々は旧式のシステムもあるからどうにか見つけられたが、向こうが気づいているかどうか…」
「あーこちらでも両国に対する攻撃の証拠を見つけることが出来た。」
「犯人がわかったのか。」
「IPは解っているが、攻撃は2日前に行われている今からじゃ無理だ、まずは現状への対処を。」
「2日前だと!ああ解った。我々の方は発射すれすれだったがカウントを止めるのが間に合った。残念ながら我々から言っても信じてもらえそうに無い…日本から連絡を…」
先の編入と核の発射も考慮していたという発言から西側は不信感を高めており、嘘の情報を信じてしまっているようだった。まさかレーダーと監視衛星を同時に乗っ取られるとは我々も想定していないので、無理も無い事である。
そのとき、電話の向こうとこちら側で警告音が成ります。
「くそ、打って来やがった。間に合わなかったか。」
「とにかく連絡をとってみる。それと日本からのAWACSの領空侵入許可をくれ、迎撃の為に出来るだけ正確な軌道を割り出したい。」
「出来るのか?」
「指令破壊が間に合わない可能性もある、出来るだけの事はしたい。」
「あー解った。大統領に話してみる。」
「頼む、私も之から総理に話してくる。」
こういうときの判断は東側の方が速い、間に合うと良いが。
「副局長・西側への連絡を、私は総理大臣官邸に向かう。」