ユルイ日常+αバカ校とは2
「シュウ君シュウ君、オレさぁ、今度数学あたんのー!」
「ナベキ、声かいでー。」
「ぶ――――。ねぇ、シュウ君ノート見して。」
ナベキ、まじで声でかいわ。アホ丸出しな会話。
「んー。教室にあんべ。取ってこい。」
シュウ君、本当に今日はご機嫌がよろしいようで。あ、オレも次あたるんだったわ。
「ねぇ、シュウ君、トクちゃんにも国語見して上げてぇ。」
オレなりのキュートウ゛ォイスでシュウ君におねだりしてみる。
「だはははは!!!!トクちゃんキモ―――スだじぇ!!!!」
ナベキが親指立てながらアホ面で爆笑してやがる。
「えー。国語俺もしてないもーん。無〜茶〜。」
げ、マジかこいつ。使えねぇ。とか、口に出しては言わねぇけど。
「んー。んじゃいっか。」
全然良くは無えんだが、それが許されるのがこのバカ校。 見渡したって山しか見えないド田舎では、中学なんて片手で数えても足りる程。そこにいるヤツらの半分近くはここの最強なド田舎ぶりに吐き気を覚えて離れて行く。
だから高校なんて片手で数えても余る程。 その内のひとつがここ、鷹伊高校。通称他界高校。略してタカ高校。通称バカ校。
通う生徒のほとんどが地域のポリスマンに一度はお世話になっていて、夏祭りのキュートな暴走族のほとんどがバカ校生徒。要するにゴミ箱だ。
地域からは煙たがれ、親からは見放され、社会からは入口を閉鎖され。
そんな言い方をしたら、まるでオレらが被害者でかなり可哀想なヤツらに聞こえるけど、別に悲しい気はしない。ような気がする。 立ち入りを一応は禁止されているこの場所で、毎日こいつらと喋って、たまには高3らしく進路についても考えてみたり、でもやっぱどうでもイイや、と投げ出してみたり。そんなユルくて温い毎日が、嫌いじゃないのはオレだけなのかな。
中3のときは大嫌いな家を出る気で一杯だったけれど、どういう訳か、オレはこのド田舎が大好きだ。好きで好きでたまらない。愛している。
まぁ、そりゃ言い過ぎなんだけど。