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【タイトル】 タイトルは入れるべき?

 ついのべが多種多様であることは、Twitterで多くの方のついのべを探してみれば分かるかと思います。その中で気付くことの一つが、タイトルの有無です。かく言う私も初めの頃はタイトルをつけていましたが、ある時期からタイトルをつけるのをやめてしまいました。

 ここでは、果たしてタイトルはあった方がいいのか、それとも無いほうがいいのか、というのを個人的な視点で考えていこうと思います。


 まず、そもそも広義的なタイトルの意義とは何でしょうか?

 それは大まかに言って、一つは未だその作品を読んでいない人に対して「読みたい!」と思わせるため、そして二つ目に作品を読むことで初めてその意味に気付くことができるという文学的な感動を付与するため、だと私は思います。

 ここで特に私が重要視しているのは、意外にも思われるかもしれませんが、二つ目の方です。


 大抵の場合、つまりは私の偏見ですが、多くの文豪の作品を振り返ると「羅生門」「注文の多い料理店」「ごんぎつね」など、中身で述べられている事実の一部をそのまま述べたタイトルが多く見られます。これらのタイトルは、あらかじめ「○☓△な話をしますよ」と読み手にアピールするためのものだと、私は捉えています。これはこれでいいのですが、このような小説はタイトルは惹きつけるためだけで、その与える感動は、他の追随を許さない圧倒的な内容によるものだと、私は思います。一方、それとは異なる小説家もいます。例えば伊坂幸太郎は物語の中でキーになるものをタイトルに入れる場合が多いです(「重力ピエロ」、「ゴールデンスランバー」)。もしタイトルが「羅生門」だったら小難しい話が来るのだろうと予想できますが、「重力ピエロ」なんてタイトルだと中身の予想がつきませんよね(実際、この作品にピエロはほとんど登場しません)。これは初め意味が分からないけれど、読み終わるとそういうことだったのか、とタイトルに対する視点が変わるというのが、魅力の一つであるように私は感じています。


 それをついのべに当てはめるならば、どのようなものになるでしょうか。拙作には上手い例が見当たらないので申し訳ないのですが、こちらの拙作はそれにあたるかと思われます。


「チェンジ」 「テストの前日って、突然模様替えしたくなるよね」「……したんだ?」「悪い?」そこで教室のドアが開く。一瞬で喧騒が消えた。いつも固く結ばれている先生の口が開く。「今日はテスト……の予定だったが、模様替えしてたらテストが完成しなかったので延期にします」 #twnovel


 ここでは、初め「チェンジ」は模様替えのことを意味しているように見えますが、実はテストの予定も「チェンジ」になってしまった、という二重の意味が隠されています。これも読後の視点の変化ですよね、一応。

 このようについのべにタイトルを入れると、140字でなかなか表現できない文学的感動を、少しくらいは付与することができます。


 ですが、必ずタイトルをつけるべきかというと、そうでもありません。タイトルをつけることは、かなりのデメリットも伴ってしまうのです。例えば、先程書いたような読み手を惹きつけるためのタイトルというのは、たった140字の小説につけて意味があるのでしょうか。Twitter小説のメリットの一つは、手軽に読めてしまうことですよね。読むのに一日かかるということは決してありません。読む行為へのリスクは殆ど無い訳です。こんなに読み手が入ってきやすい環境はないのに、さらに読み手を呼び込むのは、あまりコストパフォーマンスの良い行為とは思えません。それよりは読み手を離さない内容を書いたり、作風を確立したりする方がかなり効率が良いと、私は思ってしまいます。


 それに加えて、タイトルを入れることで140字という限られたスペースが更に狭まってしまいますし、Twitterの性質上タイトル欄が無いので、特にTwitter小説を初めて読むという方には本文の一部と誤認されてしまう可能性もあります。何より、ただでさえ中身の薄いものの一部を始めにさらけ出してしまうと、その作品の方向性をガッチリと固定してしまうことになります。これはある意味では、僅かな文字数で読者を作品世界へ導くことができるので、文字数の限られたついのべでは有効な手段ですが、それは逆に、読者の「何が書かれているのだろう?」という楽しみさえも奪ってしまうことになるのです。要は、中身での勝負が難しくなるということです。私はそれを感じて(もちろんその時は何となくでしか感じていませんでしたが)タイトルはつけないようになりました。ですが、つけなければいいという話でもなく、ここのさじ加減はまさに紙一重と言っていいと思います。


 つまるところ私が言いたいのは、ついのべに安易にタイトルをつけるのはあまり良くないという、私の経験なのでした。

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