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嫌われようと努力したのに、今日も攻略対象に追いかけられています。  作者: 限界まで足掻いた人生


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46話 三つ巴の再会

クロード王子が私に剣の切っ先を向ける――その殺意に満ちた瞳は、私が知っている彼ではなかった。彼の憎しみは、もはや私個人に向けられているのではなく、カミという存在全体、そして、彼が一度愛した「幻影」に向けられていた。


「二度と消えないように、俺の手で、永遠に葬ってやる」


クロード王子の剣が、私めがけて振り上げられる。


その瞬間、部屋の扉が勢いよく開き、一人の人物が飛び込んできた。


「クロード殿下!お止めください!」


それは、レオンハルト殿下だった。彼は、息を切らし、ライオネルの病室から急いで戻ってきたのだろう。


レオンハルト殿下は、迷わずクロード王子と私の間に割って入った。


「レオンハルト…!なぜ邪魔をする」


クロード王子の声は、冷たく、感情がない。


「邪魔などしておりません!リリアーナ様は…リリアーナ様は、ライオネルを救うために犠牲になったはず!」


レオンハルト殿下は、私の姿を見て、激しく動揺した。彼の瞳には、安堵ではなく、混乱と恐怖が混じっている。彼は、私が消えたことを知っている。彼自身の選択の結果、私が犠牲になったことを知っているからだ。


「なぜ、またここに…!まさか、またカミの…!」


レオンハルト殿下は、私を見た。私は、彼の顔に、罪悪感の色を見た。


その時、本物のリリアーナが立ち上がり、レオンハルト殿下の前に進み出た。


「レオンハルト殿下。あなたがライオネル殿下を救ったのは、知神アザトースの導きでしょう?」


本物のリリアーナの言葉に、レオンハルト殿下の顔は青ざめた。


「な、何を…」


「あなたがライオネル殿下の命を救った代償として、私がこの世界から排除される運命になった。あなたは、その事実を知っています」


本物のリリアーナは、冷ややかに言い放った。彼女は、すべてを見抜いていた。


「私が消えたことで、クロードは憎しみという単調な運命に閉じ込められた。そして、退屈になった鶴神千鶴が、私をこの世界に戻した」


私は、思わず本物のリリアーナを見た。彼女は、カミの思惑を正確に読み解いている。


クロード王子は、レオンハルト殿下と本物のリリアーナを、交互に見た。彼の心の中で、憎しみと疑念が渦巻いているのがわかった。


「お前たち…一体、何を言っている」


「クロード!聞け!」


レオンハルト殿下は、決意を固めたように叫んだ。


「私は、ライオネルを救うために、アザトースの導きを受け入れた!そして、その結果、リリアーナ様が消えたのだ!私は、お前たちの愛のために、リリアーナ様を犠牲にした!」


彼は、私ではなく、クロード王子に、自らの罪を告白した。彼の言葉は、クロード王子にとって、衝撃だったに違いない。


クロード王子は、剣を構えたまま、静かに問うた。


「お前も…カミの駒だったのか、レオンハルト」


「違う!私は、友の命を救いたかっただけだ!」


レオンハルト殿下の必死な叫びは、クロード王子には届かない。クロード王子の瞳は、憎しみで曇り切っていた。


「カミの導きに乗った時点で、お前は俺の敵だ」


クロード王子は、剣を振り下ろす。標的は、レオンハルト殿下、そして私。憎しみに囚われた王子の、無差別な攻撃だった。


私は、彼の剣から身をかわしながら、この三つ巴の状況をどうにか打開しなければならないと、必死に考えた。誰もが、カミの糸に絡め取られている。

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