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11話 破滅の女王、誕生

私の口から放たれた言葉は、レオンハルト殿下の心を砕き、憎悪の炎を燃え上がらせた。そして、私を操り人形にしようとした本物のリリアーナは、予想外の展開に呆然としている。


「……ありえない……!なぜ、あなたは、私のシナリオを……!」


本物のリリアーナは、私を指差して叫んだ。その顔は、完璧だった悪役の仮面が剥がれ落ち、怒りと混乱に歪んでいる。


「あなたのシナリオは、私の復讐のためにありました」


私は、冷たい声で言った。もはや、悲惨な運命を回避するためではない。これは、私を陥れた者たち、そしてこの世界への復讐だ。


私の行動は、周囲にいたアルフレッド殿下、ロベルト様、ジル殿下、そしてイザベラにも大きな衝撃を与えていた。彼らは皆、私を信じられないという目で見ていた。彼らが私に抱いていた「愛」は、憎しみへと変わりつつある。


「リリアーナ様、どうして……!私を苛めてくださったのは、殿下のためではなかったのですか……?」


イザベラは、震える声で尋ねた。


「違いますわ、イザベラ伯爵令嬢。私があなたを苛めたのは、私自身の楽しみのため。あなたを、そしてあなたに群がる愚かな男たちを、弄ぶためです」


私は、完璧な悪役の笑みを浮かべた。イザベラは、私の言葉に絶望し、その場に崩れ落ちた。


「貴様……!よくもリリアーナ様を……!」


ロベルト様は、怒りに震え、剣に手をかけた。しかし、本物のリリアーナが、その前に立ちはだかった。


「待ちなさい、ロベルト。この女は、私が断罪する」


本物のリリアーナは、私を睨みつけ、魔力を放った。それは、私の心を貫くほどの、強烈な憎悪の念だった。


「この女は、私の全てを奪おうとしている。私の婚約者、私の人生、そして、私の悪役令嬢としての地位を……!」


本物のリリアーナは、私に向かって黒い稲妻を放った。しかし、私はそれを恐れることなく、静かに見つめた。


なぜなら、この世界は、私が前世でやり込んだゲームの世界。私は、彼女の魔法の特性も、弱点も、全て知っている。


私は、詠唱もなしに、彼女の魔法を相殺する光の魔法を発動させた。


「な……!なぜ……!」


本物のリリアーナは、驚愕の声を上げた。彼女は、私が魔法を使えることを知らなかったのだ。


「残念でしたわね。あなただけが特別だと思わないことです。この世界には、あなたよりも優れた人間がいる」


私は、そう言って、彼女に冷たい視線を向けた。


もはや、私は「偽物」ではない。私は、私の力で、この世界を支配する「悪役」として、新たな道を歩み始めたのだ。


私の周りには、もはや私を愛する者など、一人もいない。私の顔を見るたびに、彼らは憎悪を露わにするだろう。そして、それが、私が最も望んだ結果だった。


私は、この世界で最も嫌われ、最も恐れられる「破滅の女王」となる。それが、私を陥れた者たちへの、最高の復讐なのだから。

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