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大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。  作者: 菊池まりな


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第95話 恋心、バグりました

ショッピングモールを出た帰り道、朱里の頭の中はずっとぐるぐるしていた。

 瑠奈の「平田先輩のこと、どう思ってる?」という言葉が、無限ループで再生されている。


 (どう思ってるって……先輩、だし。先輩、なんだけど……)

 足元のタイルを見つめながら、朱里は溜め息をつく。

 ──というか、“先輩”にしては、ちょっと距離が近すぎる気もする。

 映画に行ったり、コーヒーをおごってくれたり、残業を止めてきたり。

 あれ、なんか普通にデートコースっぽくない?


「やだ、私、何考えてるの……」


 つい口に出してしまい、通りすがりの親子に怪訝そうな目で見られた。

 朱里は「違うんです」と心の中で土下座しながら、駅の改札をくぐった。



 翌朝。

 社内の給湯室にて。


「おはようございます」

「あ、おはよう中谷さん。今日ちょっと肌寒いね」

 嵩がマグカップを持って、コーヒーを注いでいる。

 いつも通りの穏やかな笑顔。

 なのに、朱里の頭の中は一瞬でフリーズした。


(やばい。昨日の瑠奈の言葉、思い出しちゃった……!)

(“どう思ってる?”って聞かれて……いや、思ってない!思ってないけど!)


 「思ってないけど!」

 「……え?」

 「!?!?!?い、いえ! あの、その、豆乳ラテにしようか迷ってたんです!」

 「え、あ、そうなんだ。……豆乳派?」

 「そうです!健康志向で!意識高めで!」


 (何このテンション!?)


 朱里は自分の挙動不審さに頭を抱えたい気分だった。

 嵩は首を傾げながら、やわらかく笑う。


「じゃあ今度、豆乳ラテ買っておくよ」

「え、い、いえ、そんな!気を遣わないでください!」

「気を遣うとかじゃなくて、中谷さんが好きそうだから」

「っ……!」


 (バグった。完全に恋心、バグりました)


 朱里は真っ赤になりながら、急いで自分のデスクへ戻った。

 後ろから聞こえた嵩の「おーい、中谷さん、砂糖忘れてるよ?」の声も、

 もはやノイズにしか聞こえない。


 パソコンを開く。

 入力しようとした文字は、「業務報告」でも「顧客対応」でもなく──

 うっかり“すき”の「す」だった。



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