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大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。  作者: 菊池まりな


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第78話 美鈴の忠告

翌日の昼休み。

 オフィス近くのカフェの隅、朱里はカフェラテをかき混ぜながら、ひたすらテーブルを見つめていた。


「で? つまり、休日にふたりで映画行って、夜ごはんも食べて、最後に“夜風と星空の下で見つめ合いました”ってこと?」

 向かいに座る美鈴が、わざと芝居がかった口調で言う。

 朱里は慌てて口を押さえた。


「ちょ、ちょっと! 声大きいって!」

「なによ〜、職場の王子様とのデート報告なんて、普通もっとドヤ顔で話すもんでしょ?」

「デートじゃない! ただの、チケットが余ってたから……って……」

「……ふーん?」

 美鈴はにやにやしながらストローをくわえた。

 完全に“わかってる顔”だ。


「で、その“チケットが余ってた”って言葉、信じたの?」

「う……信じたっていうか……別に、そこは重要じゃないし」

「はぁ〜出た出た。朱里の“自分からは踏み込まない病”。」


 美鈴はテーブルに身を乗り出し、朱里の目をまっすぐ見た。


「いい? 朱里。男って、“なんで私なの”って聞かれた瞬間に察するの。

 “この子、俺の気持ちに気づいてない”ってね」

「うぅ……そんなつもりじゃ……」

「つもりじゃなくても伝わらないんだって。

 大嫌い大嫌い言ってても、ちゃんと伝えなきゃ何も始まらないよ?」


 その言葉が胸に刺さった。

 “ちゃんと伝えなきゃ、何も始まらない”。

 ──わかってる。

 けど、怖いのだ。伝えた瞬間に壊れる気がして。


「でも……もし、嵩さんが望月さんを選んだら……」

「朱里」

 美鈴が静かに言葉を切る。

「恋って、勝ち負けじゃないの。

 “自分の気持ちをごまかさない”って、それだけで立派な勝負なのよ。」


 朱里はカップを握りしめた。

 ラテの泡が、もう消えかけている。

 それでも、心の中ではまだ泡立っていた。

 不安と期待と、ほんの少しの勇気が、混ざり合って。


「……ねえ、美鈴」

「なに?」

「私、もう少しだけ頑張ってみる」

「うん、それでいい。それでこそ中谷朱里。」


 美鈴は笑ってウインクをした。

 朱里もつられて笑い返す。

 けれど、その笑顔の裏では、もう次の週末の予定を考え始めていた。




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