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第39話 親友の作戦会議

「よし、決めた」

美鈴はパチンと指を鳴らした。


「え?」

朱里は怪訝そうに首をかしげる。


「朱里、あんたがこのまま“嫌い嫌い”ばっかり言ってたら、嵩先輩は本当に新人ちゃんの方に行っちゃうわよ」


「そ、そんなこと……!」

否定しようとしても、さっきの瑠奈の笑顔を思い出すと、言葉が喉に詰まった。


「だからね、ここからは攻めに転じるの」

美鈴はにやりと笑って、ノートを取り出した。

「作戦名、“逆・大嫌い大作戦”」


「なにそれ……」

朱里は思わず額を押さえる。


「要するにね、“大嫌い”って言う回数を減らして、代わりに“好き”に近い行動を混ぜていくのよ。ツンだけじゃなくデレを仕込む!」


「で、デレ……?」

朱里の耳が一気に赤くなる。


「そう。たとえば――」

美鈴は指を一本立てる。

「その①。差し入れ作戦。コーヒーでもお菓子でもいいから、さりげなく“先輩、これどうぞ”って渡すの」


「む、無理!」

朱里は即答した。


「その②。仕事でフォローしてもらったら、ちゃんと“ありがとうございます”って言う」

「……それくらいなら」


「その③。意地悪言いたくなったら、一回飲み込んで、にっこり微笑む」


「そ、それが一番難しい……」

朱里は頭を抱え込んだ。


「大丈夫よ」

美鈴は肩を軽く叩き、にっこり笑った。

「どうせあんた、不器用なんだから。ちょっとの“デレ”でも相手には充分刺さるわよ」


朱里は唇を噛みしめながら、小さくうなずいた。

「……やってみる」


その声は弱々しかったが、確かに決意を含んでいた。

“嫌い”を武器にしてきた自分が、“好き”に近づくための一歩を踏み出そうとしている。


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