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第23話 すれ違う温度

「……はあ、やっちゃった……」

朱里は昼休みの給湯室で深いため息をついていた。午前中の失言で、嵩に避けられている気がして仕方がない。


「中谷先輩、大丈夫ですか?」

声をかけてきたのは望月瑠奈だった。小さなペットボトルのお茶を差し出しながら、心配そうに覗き込む。


「うん……ありがと」

受け取りながらも、朱里の声は沈んでいる。


「先輩のこと、ちゃんと見てますから」

瑠奈はにっこりと笑った。その笑顔に、朱里は少し救われる気がした。


けれど──その次の言葉が胸に刺さる。


「平田先輩だって、きっと本気で怒ってないですよ。だってあの人、優しいですし。……私も、そこが好きなんです」


その一言で、朱里の心臓が跳ねた。

フォローのつもりなのか、挑発なのか。どちらとも取れる言い回しだった。


「……そ、そうね。優しいもんね、あの人は」

精一杯の平静を装いながらも、声がわずかに震えていた。


瑠奈はその変化を見逃さず、目を細めて小悪魔のように微笑む。

「先輩も……そう思ってるんですよね?」


──この子、本気だ。

朱里は胸の奥がざわつくのを抑えきれなかった。


外から見れば、先輩後輩の何気ない会話。

けれど実際には、二人の間に目に見えない火花が散っていた。



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