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大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。  作者: 菊池まりな


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第104話 救出劇は予想外に

「……あれ?中谷さん、望月さん、それに……平田さんも?」


 角を曲がったところに、

 仕事帰りの 田中美鈴 が立っていた。


(……なんでこうも続けざまに……!?)


 美鈴は事情を察したのか、にたりと口角を上げた。


「ほぉ……なるほどね?」


「な、なるほどじゃないです!!」


 朱里は両手をぶんぶん振って否定するが──

 もはや誰も信じていない顔だった。


(どうして……ほんとにどうして……こうなるの……?)


 朱里の心の叫びは、秋の夜空に吸い込まれていった。


瑠奈と美鈴が合流してしまった帰り道。

 雨上がりの夜気はひんやりしているのに、朱里の顔は火照りっぱなしだった。


(な、なんでこうなるの……!?せっかく二人で歩くはずだったのに……!)


 歩く列は、

 前に嵩と朱里、

 後ろに瑠奈と美鈴という奇妙な隊列。


 その後ろ組が──やかましい。


「で〜?お二人はいつからの仲なんですかぁ?」

「いやいや、瑠奈ちゃん、圧がすごいわよ。逃げ道ふさぐタイプじゃん」


「逃がす気ないんで」

「こわっ!?笑」


 美鈴のツッコミが軽快に入る。


(美鈴……助けて……!)


 朱里が振り返ると、美鈴は片目だけウインクした。

 それは、

《任せなさい》

という、いつもの合図。


「望月ちゃん、今日ってさ、買い物して帰るって言ってなかった?」

「え?……え、まぁ……して帰りますけど……?」


「じゃあさ、ほら、あそこの100均寄らない?新商品入ってたんだって!」


「え、でも……」


「行こ。ほらほら、行こ行こ!」


 美鈴は瑠奈の腕をがっちりつかむと、

“物理的に” 引きずっていった。


「ちょ、ちょっと待っ……!平田さんたちは……!」


「大丈夫〜、二人は別方向でしょ? はい解散〜!」


 ぱんっ、と美鈴が手を叩く。


 瑠奈が振り返りながら叫ぶ。


「中谷さん!あとで聞きますからね!!」


 その叫びが夜道に響いて──

 ふたりは角を曲がって消えていった。


 残されたのは、

 嵩と朱里だけ。


「……助けられましたね、中谷さん」

「……助かりました……ほんとに……」


 朱里は肩の力を抜き、ちいさく息を吐く。


 嵩は少しだけ笑って、朱里を見た。

 その穏やかな目に照れが込み上げてくる。


「じゃあ……改めて行きますか。少しだけ、歩く約束でしたし」

「……はい。お願いします」


 さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、

 ふたりの間に静かな風が吹いた。


 雨上がりの街を、

 ようやく──

二人で歩き出す。



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