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大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。  作者: 菊池まりな


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第102話 追いかけてくる足音

「じゃあ、行きましょう」


 嵩さんがゆっくり歩き出す。その一歩一歩に合わせるように、私も横に並んだ。雨上がりの道路は街灯をぼんやり映していて、なんとなくいい雰囲気だ──なんて思った瞬間。


「おっ、平田さんと中谷先輩だ!」


 背後から明るい声。

 振り向くと、コンビニの袋をぶら下げた瑠奈が立っていた。


「あっ、望月さん──」


 と言いかけた途端。


「ちょっと待ってください〜〜っ!」


 瑠奈は、私たちのもとへ小走りで駆け寄ってきた。コンビニ袋の中でお惣菜パックがカタカタ揺れている。


 な、なんか追いかけてきた感じになってる……!


「よかった、追いついたぁ……! え、えへへ。偶然ですね! お二人とも帰りですか?」


「う、うん。まあ……そうだね」

 嵩さんは、やや困ったように笑う。


 よし、私の心臓、落ち着け。

 こういうときに限って、脈が爆速で暴れだすんだよね。


「あの、もしよければ……一緒に帰ってもいいですか?」

 瑠奈は期待に満ちた笑顔を向けてきた。


 で、出た……その顔……断れないやつ……!


「もちろん。平田さん、いいですよね?」

 瑠奈が当然のように言う。


「う、うん。大丈夫だよ」


 嵩さんがそう言った瞬間、私の“少しだけ特別だった帰り道”は、ふわっと霧散した。


 でも。


「中谷先輩、嬉しそうですね?」

 瑠奈がにやりと笑ってのぞき込んでくる。


「え、ぜ、全然!? むしろ大嫌いだし!? こういう気まずいやつ!!」


「いや、俺、何もしてないけど……」

 嵩さんが苦笑する。


 しまった、反射的に“口癖”が出た。


 ──大嫌い。

 本当はその正反対なのに、目の前の人に向かって言っちゃう私。


 またやっちゃった、と胸がきゅっとなる。


 なのに嵩さんは、どこか優しい目で私を見て、小さくつぶやいた。


「……中谷さんの“それ”、もう慣れてきたな」


 え?

 慣れてきた?

 慣れて……きた……?


 ちょ、ちょっと待って。

 それって、どういうこと──!?


 私の心のざわめきと、瑠奈の足音が並んで響く中、三人で夜道を歩き始めた。


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