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第71話 ケンちゃん過激派!集団立てこもり事件!

「事の発端は一週間前に遡る。ケンちゃん不在で警備が甘くなっていた城に、多くの魔族が突如として押し寄せたのさ」


 アウラは皆を椅子に座らせ、淡々と事件の顛末を語り始める。


 ケンちゃんを抱っこしたままなのは気に障るが、突っ込んでも話が進まないので今は口には出さず我慢する。


 お♡!


 暇なのか足をプラプラさせておる。かわいい。もうちょっと屈んだらパンツが見えそうじゃな。


『ぐぬぬ……いたっ!』「いたい……!」


 椅子から身を乗り出し、ケンちゃんの短パンの隙間から見え隠れする白い布地を視界に捉えた瞬間――フィーリアの頭に盛大にぶつかった。


『おい!お主なにしてるんじゃ!そんな位置にいたら邪魔じゃろ!』


「そ、それは私のセリフ……です!あともう少しで見え……じゃなかった。真剣に話を聞いていたのに!」


『嘘つけ!どうせケンちゃんの白くて純白のパンツを拝みたかったんじゃろ?鼻の下を気持ち悪く伸ばしよって!』


「違い……ます!ていうか、なんでルナさんがケンちゃんの下着の色を知ってるんですか!?」


『阿呆!そんなもん見なくてもわかるわ!24時間365日、ケンちゃんが何色の下着を履いてるか把握してるからな!わしを舐めるでないわ!』


「君たち!!!」


 ビクッ!


「……このまま話を聞かないなら、ケンちゃんとの接触を禁じるけどいいかい?」


『……すまぬ』「ごめんなさい」


 アウラの一切笑っていない冷たい笑顔で見下ろされ、思わず素直に従ってしまう。

 普段はあまり気にしていなかったが、高身長の圧力というのは恐ろしいものじゃのう。


「結構。では改めて説明しよう……提出された報告書を読んだところ、今回の城占拠騒動を起こしたのは、“ケンちゃん園”に通っていた熱心な魔族たちだそうだ。彼女ら曰く――」


【高い金払って癒やしを求めたのに、ケンちゃんがいないなんて詐欺だ!この傷ついた心を癒すには実力行使しかない!】


「――と暴走したらしい」


「なるほど。ですが、その時ちょうど我々はエルフの森に慰安旅行中だったため、彼女らはケンちゃんには会えずじまいと……ある意味ラッキーでしたね」


「じゃが、ケンちゃんがおらんのに、なぜ今も城に立てこもっておるのじゃ?我らが戻ればどうせ追い出されるのだから、素直に帰ればよいものを……まったくアホな奴らじゃ」


 魔法が使いにくくなる屋内戦など我ら獣人族の得意分野。肉体でのシンプルな近接戦闘なら右に出る者はおらん。


 ましてや、魔王軍幹部の本拠地に攻め入るとは命知らずにも程がある。

 まったく、どれほどの数が来たかは知らぬが、身の程をわきまえぬ愚か者じゃのう。


「まぁ……城に攻め入った人数は1000人を超えていたそうだからね。大群となれば、それだけで気も大きくなるのも無理はないさ」


『え……1000人もおるのか!?』


「ああ、その上厄介なことに、城内にいた獣人族のうち数名が向こう側に寝返っているらしい」


『……………………』


「そのせいで城の構造、抜け道、警備の死角……全部が全部筒抜けの状態。最初の突入では完全に手の内を読まれて返り討ちにされたそうだよ」


 前言撤回じゃ。なんじゃそれ、普通にめんどくさいわ!


 てか今さら気づいたが、反撃しようにも大剣以外の武器や防具は全部城に置いてきているはないか!


 ぐぬぬ……今まで城が攻められたことなんて一度もなかったから考えたこともなかったが、もしかして城を占拠されたってかなりまずい事態なのか?


 いやきっと大丈夫。最悪全員殴れば解決する話じゃ。


「ちなみに城を明け渡す条件として、1000人全員がケンちゃんと“交尾”することを要求しているらしい」


『却下じゃ!ケンちゃんを奴らに渡すわけなかろう!』


「いいのかい?もしかするとこの1000人交尾がきっかけで、ケンちゃんとの強制交尾が解禁されるかもしれないよ?」


『1000人と交わるというのは……まあ、百歩譲って許してやろう。じゃが!わしより先に交尾するなんて我慢ならん!ケンちゃんの初めてはこのルナと決まっているのじゃ!』


 最初の交尾は絶対にわしが勝ち取ってやる。そしてケンちゃんの首、鎖骨、腕、といった肌の隅々にわしの証を焼き付けてやるのじゃ!


 そうすれば、次に手を出そうとする他のメスどもも、「これはルナのもの」と本能で理解するはずじゃからな!


「ルナ君がそう言うであろうと想定して次の手は打ってあるが……もう少しまともな理由はないのかい?」


『ない!!!』


「はぁ……その“初めて”が欲しい気持ちはわかるけどねぇ。そこはせめてケンちゃんの為にとか言って欲しかったよ」


『ふん、アウラはわかっておらんな!これも全部ケンちゃんの幸せのためじゃ!ケンちゃんはわしに初めてを捧げたくて仕方ないに決まっておるからな。その初めてを守ることこそが、ケンちゃんの幸せに繋がるのじゃ!』


 まぁ、毎晩裸で布団に待機しているが一向に来る気配がないし、それどころかまるちゃんたちと楽しそうにイチャイチャしているが………もう少しの辛抱じゃろ。きっと緊張しているだけじゃな。


「まったく……ケンちゃんはこんな性欲お化けに拾われて大変だねぇ」


「セイヨク……オバケ?イミ……オシエロ……クダサイ」


「おや、もうそんなことを覚えたのかい?ケンちゃんは私に似て賢いねぇ。セイヨクオバケっていうのは、ルナ君のような変態バカのことさ」


「ルナ……セイヨクオバケ……バカ?」


「ふ……ふふ。そうさ。今度そう呼んであげるといい。きっと涙を流して喜んでくれるさ」


「ワカッタ………アンガト」


『おい!なに教育に悪いことを教えておるのじゃ!ケンちゃんはおとぎ話の囚われ王子様のように、上品な言葉だけを教えているのじゃぞ!余計なことをするでないわ!!』


「……ルナ君が近くにいる時点でそれは不可能なんじゃないかい?」


『そんなことないわ!』


 ケンちゃんに下品な言葉を教え込もうとするアウラを叱責する。


『そもそも、わしが性欲お化けだったらケンちゃんに会った瞬間に服を引きちぎって襲っている!むしろ、お主の方こそ初日に襲いかかっていたではないか!性欲お化けの変態はそっちじゃ!』


「うーん……これは否定が難しいねぇ。ルナくんにしてはなかなか鋭く言い返すじゃないか」


『わかったらケンちゃんをこっちに寄こすのじゃ!変態はケンちゃんに悪影響だからな!』


「断る。ケンちゃんは私にぎゅっとされるのが好き好きでたまらないからねぇ」


 ギュッ!


「アウラ……はずかしい……です」


 アウラがそっとケンちゃんを抱きしめ、二人の頬は自然と触れ合う。


 恥ずかしさに体をくねらせるケンちゃんだが、頬の赤みの奥で微笑みがゆっくり広がっていく。それはまるで、交尾本の中だけで見る純愛ラブラブ交尾をするカップルそのもの……


『NTRは許さん!!!死ね!!!! 』


 ガチャ……!


『おい!誰だ!扉を開けたアホは!今は大事な会議中だから立ち入り禁止は……』


「ほう……皆揃っているな?」


『なっ、魔王様!?な、なんでこんなところに来ておるのじゃ!?』


 恐ろしい気配に身を固くしながら扉を見れば、そこには堂々とした姿で魔王様が立っていた。


「なんでって……今貴様の城が占拠されてるだろ?それを解決しに来てやったのだ」


『え、魔王様が直々に来るような案件なのか?確かにケンちゃんの住処を狙われたのは大問題だが、別に暴力で解決すれば済む話じゃろ』


「それでも構わぬのだが、今回起こった市民の暴走はこちらに非がないこともないからな。世論を納得させるためにも吾輩自ら出向き、事態を収拾することにしたのだ」


 な、なるほどのう。じゃが、魔王様が来たとなればもう問題は解決したようなものじゃな!


 はぁ~、ようやく寝室のふかふかベッドでぐっすり眠れるのう。

 まるちゃんたちのモフモフに顔をうずめて、早く夢の中に入りたいわい。


「ではさっそくケンちゃんを連れて城に行くぞ。吾輩も暇ではないのでな」


「了解した……では作戦会議はここで一旦切ろう」


 アウラが手元の資料をまとめたのを合図に皆が外へ出ていく。そのまま使用人を引き連れて城へと向かった。%

 

 これですべて解決!後は寝るだけ……………………と思ったのじゃが。







「今ここに宣言しよう!この城で繰り広げられる戦いの末、最後まで立っていた者――その者にケンちゃんと交尾する権利を与える!」



<<<うおおおおおおおおお!!!!!!



『どうしてこうなったんじゃ!!!』


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