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第0話 男女比1/3000の異世界に転移した僕は魔王軍のアイドルペットにされる


「この匂い……ここに人間族のオスが潜んでいるはずだ!全力で探せ!」


「おい、獣人族ども! そこをどけ! 我々竜族には生殖可能なオスが一人も残っていないのだぞ! 種の繫栄の為にも私が先に人間族のオスと結ばれるべきなのだ! 」


「人間ちゃ〜んっ♡ 怖がらないで〜!ちょ〜っとだけ合体して、ちょ〜っとだけ気持ちよくなるだけだから〜………だから早く出てきなさい!こっちはもう準備万端なのよ!頭の中ではもう3人は出産してるんだから!」


「みんな落ち着け! 俺がこの前見た人間族の交尾本によれば、オスは何十回と体を重ねても平気な顔をしていた! もしそれが本当なら、ここにいる100人分くらいとの交尾は余裕なはず! だから無駄な争いはやめて、裏切り者を探そうじゃないか!」




『ち…………そんなわけないでしょう。魔界では一体どんな教育をしているんですか』


 僕は謎のフードを被った女性に抱えられながら、近くの建物の影に身を潜める。


 すぐ近くからは、絶叫とも狂乱ともつかぬ叫び声が次々と響き渡り、そのたびに事態の緊急性がひしひしと胸に迫る――早く脱出しなければ。


「もごもごもごもご」


『こら! 暴れないでください!いいですか、私についてくれば、国家指定の生殖者として扱われるんです。少しは状況を理解してください!』


 ジタバタジタバタ....


『ちょ、ちょっと……頭が胸に当たって……! お”ほっ!これ以上動いたらその服をひん剝いて”ヒィーヒィー”言わせますよ!』


 謎の女性から逃れようと手足をばたつかせたが、彼女は鼻息を荒くしながら不機嫌そうに怒り出した……というか、なぜ僕は誘拐されてるんだ?


「おい! こっちから声が聞こえたぞ!きっと誘拐した裏切り者だ! 逃がすな殺せ! そしてルナ様にバレる前に捕まえて、私たちだけで楽しむぞ!」


『くっ……見つかりましたか!仕方ない。今から飛ばします! 落ちないでくださいね!』


『エアリアル……そしてハイウィンド』


 ボワーン!


 何か呟いた途端、女性の両足に鮮やかな魔法陣が描かれる。


『行きます!!!』


 視界が一気に引き延ばされ、目の前には無限に続く横長の線が映し出されていた。


「あばばばばばばばばばば!」


 風を切る音が耳を突き刺すような爆音に変わり、次々と建物の狭い隙間をすり抜けながら、ひたすら加速を重ねていく。


 ヒュン....ヒュン....ヒュン....


 看板や後ろから放たれる魔力の塊が頭上をかすめる度、心臓が凍りついた。


『そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。万が一、体が吹き飛んだとしても、回復魔法を使える者を待機させているので心配無用です。それにもうすぐ合流地点に到着します。もしかすると、軍のお偉いさんにちょっと味見されるかもしれませんが、魔族との交尾に比べれば全然マシなので暴れないでくださいね』


『…………あ、もちろん、最初は私がいただきます。あなたを救った白馬の王女なのですから、それくらいは当然許してくれますよね?ね?ね?』


 僕を抱きしめている女性が、突然訳のわからないことを話し始めた。


 ああ……なんで僕の異世界生活はこんなふうになってしまったんだろうか。


 異世界転移って、もっと剣や魔法を駆使してかっこよく世界を救うもんなんじゃないの?


 そう心の中で愚痴をこぼしながら、僕が初めてこの世界に来た日のことを思い出す……



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