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ソベルナ王国の魔法使い(魔法使いの元男爵令嬢はハイスペ王太子を翻弄する)  作者: 風野うた
第一部 その願い100%叶います!(天使カードに軽い気持ちで魔法付与をしたら大変な事になりました)
95/127

95 神殿っぽい

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 オレンジ色の柱は遺跡の入口から、十メートルほど進んだところにある。


草木に覆われた建物は石を積み上げて建てられたもので、崩れ落ちている部分も多い。


大きな石柱の配置などを鑑みると、これは神殿の可能性が高い。


「マクス、この建物の存在は知っていたの?」


「いや、知らなかった。何かありそうだなとは思っていたけど、、、あったな」


 月明かりだけで、マクスの細かな表情は分からないけれど、声は明らかに苦笑いだった。


「ピピ、何処に繋がっているかを確かめるぞ」


マクスは、ピピの居る方へと振り返る。


「え!?」


大きな声を出して、マクスはそのまま固まった。


「どうしたの?」


私もマクスの視線の先を追う。


「、、、え!?どう言うこと!?」


「殿下、キャロル。ミーはどうしちゃったのでしょう!?」


ピピの声が困惑している。


「デッカいわね!!」


「ブフッ、、、。すまない」


笑っているマクスを置いて、私は駆け出した。


いつものように少し離れた場所で、私達を見守ってくれているピピの所へ。


そして、ピピの前で立ち止まる。


どうしたことか、ピピは大きさが四倍くらいになっていた。


私は手を伸ばして、ピピに触れる。


いつものふわふわな巻き毛だった。


単に成長した?


いや、そんなことは、、、。


「どうして大きくなったのかしら。ピピ、何か思い当たる事はない?」


「キャロル、この森は怖いです。突然、ミーの身体は大きくなりました。魔力も増えた気がします」


「そうなの?私の魔力も増えていたりするのかしら、、、。マクス、何か分かる?」


振り返って、マクスに話し掛けた。


「ああ、試してみるか」


マクスは、右耳のピアスに手を伸ばす。


そして、ピアスを外そうとして、手を止めた。


「どうしたの、マクス!?」


「いや、外さない方が良さそうな気がした」


「何で?」


「ここは魔力を増幅させる何かがある。危険だ」


魔力を増幅させるなんて、魔石でも埋まっているのかしら?


「逆に聞くけど、キャロルは何とも無いのか?」


「私は何も」


嘘ではなく、本当に何もない。


「どうする?探索は危険かも知れない。それでも行くか?」


マクスは、私とピピに向かって言った。


「ピピはどう思う?」


「ミーは、大丈夫です。お供します!!」


ピピはピョンと跳ねた。


むむむ!!大きなぬいぐるみサイズのピピも、スゴく可愛い!!


ちょっと、抱きしめてみたい、、、。


誘惑に負けて、手を伸ばしそうになった。


いや、この状況で、それをしたら緊張感が無さ過ぎるよね。


自重、自重。


「ピピが大丈夫なら、私は行こうと思うけど。マクス、良い?」


「ああ、勿論。じゃあ、行こう」


私とピピは、マクスの立っている場所まで移動する。


「いざ、転移先へ!!」


三人の掛け声と共に、私達の姿は黒の森から消えた。




 「は!?寒っ!!」


 此処は何処?


お空には美しい満月が輝いている。


そして、その月明かりに照らされた銀世界は幻想的でこの世のものとも思えない。


足元を見れば、硬い雪。


いや、待って、待って、待ってー。


今、夏だよね。


風景もおかしいし、寒い。


とにかく寒い。


「ピピ、此処は?」


マクスが、ピピに問う。


「ここはブカスト王国の氷河地帯です。王龍の神殿の近くです」


「分かった。戻ろう」


マクスはそう言うと、私達を引き連れて、一瞬で王宮の中庭に転移した。


「私、あの場所で寒いしか言ってない」


「いや、あれは寒すぎるだろう」


マクスは両腕を身体に巻き付けて、寒さを表現していた。


「ミーは平気でした」


自慢げに言う相棒の身体は、元のサイズに戻っていた。


やっぱり、ぎゅっとしておけば良かった。


ちょっと後悔、、、。


「これで、カルロに聞いた転移ポイントは、全て調査完了だな」


「そうね」


「恋人の丘は王都ブカの西門、祈りの滝はブカスト王国のパン草原、天使の泉は魔塔の裏、そしてエルフの森はブカスト王国の氷河地帯か、、、」


「殿下、キャロル。ミーは見張りの任務に戻ります」


ピピは少し焦っているのか、マクスが呟いている途中で割り込んだ。


「そう言えば、ジョージはどうなった?」


マクスはピピに聞いた。


「ミーとマックの失態で、大変なことになってしまいました。ジョージ王子は、まだ見つかっていません」


バツが悪そうに下を向いて、ピピは答えた。


「分かった。気にしなくていい、魔力も吸い取っているんだから、何とかなる」


マクスはピピを励ます。


「そうよ。私達はピピを頼りにしているのだから。これからもよろしくね」


私はピピの頭を撫でた。


いつもなら、辞めて下さい!と怒るのに、今日は何も言わない。


ピピ、結構凹んでいたのね。


「殿下、キャロル。ありがとうございます!これからも頑張ります」


「ああ、気を付けて」


「マックにもよろしくね」


私達の言葉を聞いてから、ピピはピョンと跳ねて消えた。


月明かりの下、二人だけになった。


「うわっ!」


マクスが、突然強く抱き締めて来た。


不意打ちな行動で、心臓の鼓動が早くなる。


私の顔は、マクスの胸板に潰されそう。


右手で、マクスの背中をトントンと叩いた。


、、、無反応。


いや、苦しいのだけど。


次は右手で拳を作ってドンドンと叩いてみた。


、、、ええっと、無視?


何なのよ、もう!?


最後の足掻き、両手で背中をポコポコ叩いた。


「ふっ、、、」


マクスは、鼻で笑うと、腕を少し緩めてくれた。


「マクス、色気が無い行動だとは分かっているのよ。でもね、そんなにギューっとされると苦しい!!」


マクスの顔を見上げながら、不満を言葉で伝えた。


月明かりで、マクスの綺麗なお顔が、更に美しく見える。


「キャロル、愛してるよ」


私の瞳を真っ直ぐ見詰めて、急に言うから、胸がキュンとした。


「どうしたの?」


「愛おしさが溢れて、ちょっと、もう無理、、、」


再び、私を抱え込んだマクスは、迷いなく王太子宮の寝室へ転移した。


「ちょっと、マ、マクス?どういう、、、」


私が問い掛けても、返事もしない。


手を引いて、室内をツカツカと歩いて、そのままベッドへ押し倒された。


「お風呂!!お風呂に入って無いから!」


マクスの胸を両手で押したけど、ビクともしなかった。


そして、サッと天蓋のカーテンも閉められた。


「後で一緒に入、、、。いやムリかも」


頭を振るマクス。


とことん様子のおかしいマクスにどうして良いのやら。


「変なモノにでも取り憑かれたの?」


いやいやいや、何を聞いているのよ私。


取り憑かれている人は、取り憑かれたって言わないわよね。


そんな斜め上な事を考えていたら、両手で顔をマクスの方へと向けられた。


「違う。今日は、おれの知らないキャロルを、沢山知ることが出来た!もう愛おしくて、可愛くて、、、。あー、もう無理。触りたい、抱きたい!!」


久しぶりに取り乱しているマクスが、段々と可愛く見えて来た。


「マクス、一日中忙しかったのに、疲れていないの?」


私の口は心配しているフリをする。


マクスは、ベーっと舌を出した。


悪戯っ子みたい。


だけど、そんな風に素直な気持ちをぶつけてくれるマクスが大好きよ。


私も疲れていようといっぱい触れたいし、愛し合いたい。


両手を伸ばして、マクスの首の後ろへ回す。


それが合図となり、マクスは噛み付くような口付けをした。


いつもは柔らかなキスを降らし、優しく触れてくれるのに、今夜は身体のあちらこちらへ甘噛みや、吸い付くようなキスを止めどなく繰り返してくる。


激しい愛撫によって、私の身体はすぐに熱を帯び、マクスの希望通り、朝までコースへ突入した。


愛し合って満たされた二人が、お決まりの大寝坊で、翌日青ざめたのは、また別の話。

最後まで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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