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ソベルナ王国の魔法使い(魔法使いの元男爵令嬢はハイスペ王太子を翻弄する)  作者: 風野うた
第一部 その願い100%叶います!(天使カードに軽い気持ちで魔法付与をしたら大変な事になりました)
32/127

32 どこかで見た様な気がする

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 可愛いうさぎの姿で忘れそうになる時があるけど、ピピは精霊の眷属でうさぎの妖精だ。


前に魔塔の話を少しした時、生きてる人は住んでいないって言っていた。


何か変化でもあったのかしら?


「ピピ、魔塔に生きている人はいないって言っていたわよね?」


「はい、生きている人は居ません。正確に言うと生きて暮らしている人は今も居ません。魔塔は魔力がある人なら、自由に出入り出来ると思います」


「出入り出来るのか?王族も入れるのか?」


マクスが問う。


「はい、王族の方は10年くらい前にミーが、サンディーに会いに行ったときに見ました」


「サンディ―って誰だ?」


「魔塔に住んでいる亡霊です」


「ひいぃ、、亡霊!?」


背筋がぞ~っとする。


「ピピ、亡霊もお菓子は好きなの?」


マリアが緊張感のない質問をブッ混んで来る。


「はい、好きだと思います」


「は?食べるのか!?」


マクスが驚いて声を出した。


「いえ、眺めているだけです。代わりにミーたちがおこぼれに与かります」


「へぇ~、何が一番好きなのかな」


「サンディーさんはボンボンショコラがお好きですよ」


ダメだ!!


話が脱線する。


「マリア、ちょっとお菓子の話は置いておいていい?話が進まないから!!」


強めに注意した。


「はーい、分かったわよ。ピピ、また時間があるときにおしゃべりしようね」


「はい、マリアさん」


二人で良い感じに見つめ合うのは辞めて欲しい。


「さて、ピピ色々教えて欲しい。まず、魔塔と言うのは何なんだ?」


マクスがグダグダになった話を仕切り直す。


「はい、魔塔は古の大魔女が建てたと言われています。森の精霊と人が仲良く暮らしていた時代ですので数千年くらい経つかも知れません。魔塔自体に魔法が掛けられていて、中は綺麗ですよ」


「建造した目的は?」


「住むためでは?ミーもそこは良く分かりません」


「あの塔は牢獄だろう?」


「いいえ、牢獄なんてありません。普通の家と思っていただければ、、、」


マクスとピピのやり取りを聞いていると、私たちの魔塔に関する認識とはだいぶん違うような気がする。


「ピピ、魔塔は魔力がある子を閉じ込めておく塔だと思っていたのだけど、違うってこと?」


「塔の鍵はいつも開いています。気になるなら、一度行かれてみては?」


「簡単に行っていいのか?」


「はい、大丈夫です」


「分かった。キャロル今度、一緒にいってみよう」


「ううううううん」


「何?すごく嫌そうだけど」


「亡霊、、、」


「サンディーさんはいい人です。大丈夫です」


私はこのピピの軽いノリに乗ってしまっていいのだろうか。


魔塔は恐ろしいところという大前提が覆りそうなのだけど。


「キャロさん、魔力ば食べ終わったけん、おいは帰ってよかね?眠たかとよ」


マックが本当に眠そうな声で、私に話しかけて来た。


「マックありがとう!とても助かったわ。気を付けて帰ってね」


私がお礼を言うとマックは皆に右手を上げて、挨拶をしてから姿を消す。


恐ろしいほど素早いお帰りだった。


眠いのに頑張ってくれたのね。


今回もマックは沢山魔力を吸ってくれたようで、見た目もフワフワモフモフ大きくなっていた。


マック、とてもいい子だ。


 

 マクスと私は最後に残ったマイルスであろう人物の取り調べ準備を始めることにした。


マリアはピピと一緒にその他五人を監視している。


私は、まずマイルズの頭に手を置き「制約魔法の解除する」と念じた。


次に肩へ手を置く。


「私と王太子の質問には真実を答えよ」


手から魔力を強めに流し込む。


今回は全くビリっとしなかった。


ありがとうマック!!


私の中でマックの株が上がって行く。


マクスはマイルスの覆面と猿轡を取った。


「さて、名前は?」


マクスが質問を開始した。


マイルズはメンチを切って来る。


えええ?この感じ、、、。


どこかで見たような気がする。


「マイルズ・ボルド―」


「ボルドー?ボルドー男爵家の者か?」


「はい」


「父親の名前は?」


「ランディー・ボルドー」


あ、これ思いがけず、アタリを引いたのでは?


「ここで何をしようとした?」


「転移ポイントから、ブカスト王国の青龍の宮殿に行こうとした」


マイルズは意図せず自分の口から言ってはいけない言葉がスルスルと出て来て、数分前メンチを切っていたのが嘘のように絶望感を漂わせる。


「もしかして、スージーと姉弟なの?」


私が尋ねる。


「はい、スージーは姉です」


「きょうだいは他に誰がいる?」


「4人きょうだいで、長女がスージー、長男がジョージ、僕は次男で次女のミレイは妹です」


「ノード王国で書状を預かったか?」


「はい、預かりました」


「見せてもらうぞ」


マクスは一度グルグルに巻いた拘束を解くと同時に手足を拘束した。


続けて、マイルスの胸元に手を翳すと小さな筒が浮いて出て来た。


マクスは慎重に筒を開ける。


中から、一枚の紙が出て来た。


しかし、白紙だった。


「白紙の理由を知っているか?」


マクスが、マイルスに問う。


「書状を開くとミッションが失敗であると連絡がいく」


「何だと!?では、ノード王国王弟夫人がこの瞬間にお前たちが失敗したと知るのか?」


「違う。知るのは父だ」


あー最悪。


ランディ・ボルドーどこまで狡猾なのよ。


「この計画の首謀者はお前の父ということか?」


「はい」


「一体何を目指しているんだ」


「魔法の国を作る」


「魔法の国って何よ」


イラついた私が食って掛かる。


「ソベルナ王国に魔法使いを戻し、大陸全体を手に入れる」


ああ、何て愚かなことを、、、。


「そのために周辺国に甘言を吐きまくっているのか?」


「はい」


この返答でマクスが頭を抱える。


私は閃いたことを口にした。


「マクス、そもそもランディ・ボルドーは、砂漠の薔薇のトップで、我が国ではボルドー男爵なのよね。他国で違う顔があるんじゃない?」


「ああ、ありそうだな」


ここからはマクスへ耳打ちで話す。


「すべての国で痛み分けをすれば、上手くまとめれるんじゃない?」


「あー、それしか無いだろうな。面倒くさいけど、するしかないかー」


マクスがため息を付く。


「おい、マイルズとその仲間。お前たちは問題が片付くまで拘束させてもらう。証拠が揃ったら、キッチリと法で裁くからな」


「フランクはどうするの?」


彼は一部始終を黙って見ていた。


「フランク、どうしたい?」


「真実を見極めるため、殿下と行動したいです」


「分かった。ノード国王の元に戻るときはおれも一緒に行く」


私達は一度王都にこの六人を連れて戻ることにした。


「ピピ、また会おうね」


マリアがピピに胸元から出した巾着袋を差し出した。


ピピはそれを受け取った。


「マリアさん、ありがとうございます。また会いましょう」


ピピが前足で敬礼をした。


うわっ、可愛い!!


私の相棒なのに、、、。


ちょっと嫉妬してしまいそうだわ。


「マリア嬢、色々と世話になった。引き続き任務の方もよろしく頼む」


マクスは王子スマイルを出した。


「殿下、もはや今更なのでフツーに喋ってください」


マリアは不敬も恐れず、慣れ切った話し方になっている。


「ふーん、そうか。じゃあ、マリアよろしく頼む。たまにはキャロルに会いに来てやってくれ」


「分かりました殿下。ではお気をつけて」


帰りは人数が多いので、マクスが転移担当になった。


いつの間にやら、私の背後に影の人たちも戻って来て並んでいる。


でも、覆面で顔は見えない。


マクスは右耳のピアスを外し、手を広げて何かを呟く。


眩い光に包まれて、刹那、王宮の中庭に風景が変わった。


私達を見つけた近衛騎士たちが四方八方から走ってくる。


マクスは手際よく事情説明をして、フランク以外を牢獄に送った。


フランクは使者扱いにするらしい。


「キャロル、父上にさっさと報告して休もう。明日もすることがいっぱいだ!」


元気のいいマクスに反して、私はすっかり疲労困憊である。


可愛い相棒が後ろから言った。


「キャロル、マリアさんのお菓子食べますか?」


最後まで読んで下さりありがとうございます。

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