数十年、改め数万年後編
「うーん、よく寝た」
『オ、はヨウごご、ごザイまズ、す』
「どうしたの...メナ?」
『ナ、なんんじ、ジュうねんド、と、ハナじで、い、なガった、の、デ、コえっっがうマぐ、デデでまぜんん』
「なるほど。何十年と話していなかったので声が上手く出ません、と。あなたにそんな人間味があったとは。私の方が機械っていうかAIみたい」
・・・
「やっと外に出られた〜!」
『まザか、地ちゅヴ深くニ埋まっデいたとは思いまゼんでした』
「だね。私はこの数十年でまさかこんなに進化が進むとは思っていなかったよ」
『進化がすズむは重語でズ』
「ところで冬眠を開始してから何年経ったか計算できる?」
『ゲい算するまでもありまゼん。ちょうど41971年です』
「...。数十年じゃなくて数万年だったわ。そりゃ進むよ、進化」
・・・
「お!見て!苔!」
『はい苔らしき物ですね』
「らしき物?」
『ええ、正確な検査をしないとわかりませんが、これは新種だと思われます』
「新種か〜。じゃあ名前をつけよう!うーん。シン・シュノコケなんてどうだろう!」
『他の名前をおすすめします』
・・・
「今更だけどさ、重力、ヤバくね?」
『今更ですがヤバいですよ。何せ質量が約3倍になりましたからね』
「重力も実質3倍?」
『...さあ』
「あれ?メナは全てのことがわかるAIみたいな物じゃないの?」
『...いえ、そうだったのですがそれはインターネットに接続して検索をかけていただけなので、インターネットがなくなった今それが出来なくなりました』
「あれ?でも知識あるよね?」
『ああ、それはただの計算かワタシを作ったナナが元から持っている知識です』
「でも計算はできるんでしょ?この新地球の重力だって計算できるんじゃないの?」
『どうやらナナは物理には疎かったようで...』
読んでいただきありがとうございます