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酒場『オズニーニャ』

「はああ......しかしまあよくできた街だな」


名もなき破壊神は、人間が作った建造物の数々を見て、感心していた。神の国でもこのように壮大な建造物はなかなか見ないからだ。


「あ、おにーさん、何かお困りですか? 」


突然、知らない少女に話しかけられた。何も困っているわけではない破壊神は、返答に戸惑った。


「ん? いやー、えっと」


「まあとりあえず、この街に来たなら『オズニーニャ』に寄ってきなよ! この街一番の酒場なんだ。おにーさんも気に入ると思うよ」


そういうと少女は、人混みに消えていった。それにしても、オズニーニャか。行く宛もないところだったし、ちょうどいいかもしれない。破壊神は、オズニーニャに向かうことに決めた。


-オズニーニャ-


店内は予想以上に賑わっており、昼間からでも客たちの声が響いていた。


「ん? おにーさん! 」


店の奥の方を見ると、さっきオズニーニャを紹介してくれた少女が、カウンターに立っていた。


「あ、がきんちょ。ここで働いてたのか? 」


「えへへ、まあね。宣伝してて、おにーさんのことが目に留まったんだ。キレーな顔と格好した人だなーと思ってね」


突然褒められ、破壊神は嬉しかった。神の国では、女たちのおだてるようなものしか聞いていないからだ。しかし、この少女は心から破壊神を褒めてくれた。それだけで破壊神には、人間界に来て初めて信頼できる人物に値するのだった。


「あと、私はがきんちょじゃないの。こう見えても22才! この酒場の看板娘、キラリお姉さんよ! 」


「お、おう」


「じゃあ、おにーさんは年いくつ? 」


破壊神、実年齢36億5630才。年をとるのが遅いので、神はだいたいこれぐらいの年齢である。しかし、人間の平均寿命は僅か80才。桁外れな年齢では、シンプルに驚かれてしまう。ここは適当に


「あーっと、何歳に見えるー? 」


「えーっとね......18才! 」


「あ、惜しいなぁー。17なんだよねぇ」


「へええ、若いねぇ」


なんとか自然に誤魔化すことができた。キラリお姉さんも、少しは楽しんでいるようだ。


会話はまだ続いた。


「17才ってことは、学生? もしかして、シューバルイツ高等学校の生徒さんだったり? 」


「へ? まあ」


「いいなぁ」


ノリで返事をしたが、新しい単語を入手することができた。シューバルイツ高等学校か。もう少し探りを入れてみる。


「いやぁいいぜーシューバルイツは」


「そりゃそうだよー。だってこの国で一番おっきい学校なんだもん。有名な魔法使いは大体その学校の卒業生なんだってね」


またいい情報がゲットできた。とりあえず、その学校にいってみることにしよう。だんだん目標が定まってきたぞ。


「今日はもう行くわ。じゃな」


「うん、待ってるよー! 」

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