初恋
彼女はとんだ
澄んだ青い空を背景に
白いワンピースをはためかせ
ニコリと笑顔で笑いながら
彼女はとんだ
彼女の知っている
一番高い場所から
笑顔でフェンスを乗り越えて
彼女はいった
この世界は出来損ないだと
差別も憎しみもない天国が
本当の世界がどこかにあると
彼女はいった
苦しみも悲しみも無い
遠いどこかへ
彼女の願う「本当の世界」へ
僕の手はとどかない
伸ばした手は振り払われ
彼女の笑顔だけが瞼に焼き付く
彼女はいった
微笑みをうかべながら
喧噪の中誰にも気づかれずに
灰色の街に真っ赤な花を咲かせた