ひょんな死因で異世界転生をしたら人類存亡を賭けて大魔王たちと運動会をすることとなりました。
「いやぁ女神って本当にいるんだなぁ」
俺の名前は高橋進。平凡な高校生だった。
俺はついさっき大量出血で死んだ。今いるここは恐らく冥界だろう。
「本物ですよ。にしても……ぷッ」
金髪丸メガネの天使は込み上げてくるものを抑えきれず笑いだした。
「死因が鼻血なんて! どうしたらそんなしょーもないことで死ねるんですか! ゲラゲラゲラゲラ!」
「うるせぇ! 俺だって知らねえよ! 止まらなかったんだよ鼻血が。それと初めて聞いたわゲラゲラって笑い方!」
「ふひひひっ! というかもしかして大量出血で死んだと思ってます?」
「そうだろ」
「違いますよ。溺死です」
「溺死ぃ?」
「そうです。貴方は出血でパニクって洗面台に溜まった血を全部飲もうとしたんです。しかし意識は朦朧とし顔をつけたまま溺死。映像を見るだけでこっちが笑い死んじゃいます!」
衝撃のおマヌケエピソードを聞かされ口が塞がらなかった。
「そんな運の悪い貴方ですが、なんとこの度地球の死者百億人目に当選し復活を賭けた戦いに挑む権利を得ました!」
「マジでっ?!」
「ええ、大マジです。しかしその代わり負ければ人類は滅亡します。それでもやりますか?」
「嘘ぉ! もし辞退したら?」
「その場合も滅亡です」
「汚ねえ。どっちにしてもか。ならやるしかないな」
俺は持ち前のノリで承諾し、異世界転生を果たした。そして転生させられた場所が。
「グラウンド?」
辺りはだだっ広い地面。そして後ろを向くと本部と書かれたイベントテントに、異種異形の魔物が勢揃いしていた。
ケンタウロスやドラゴン、エルフやサタンまで。ありとあらゆる種族総勢百組が集結していた。
「これより第一回異種族存亡運動会を開催します!」
頭から顎まで真っ白の髪と髭を蓄えた爺さんが声高に叫んだ。
俺は訳もわからず、割り振られたコースに並ばされた。
「ではこれより、百組を二十組にまで絞る競技をしていただきます! ルールは簡単。一息でも吸えば死に至る毒霧の中を五キロ走るだけです」
「毒霧五キロ?!」
「それでは位置についてよーいドン!」
幕が下ろされたのと同時に目の前にいたのはヒュドラだった。
ヒュドラは絶え間なく毒霧を放った。
理解が追いつかない俺は思考も呼吸も停止してしまった。
しかし数十分後、俺は二十組の生存者の中に立っていた。
どうやってクリアしたかって?
それはまた別のお話し。