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麗しの月光は穏やかに微笑む  作者: 秋月咲耶
第一章 はじまりのはじまり
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プロローグ


目覚めたらある日知らない場所にいて、私は赤ん坊だった。


どうやら私には前世の記憶があるらしく、前世の私はとある王国の王だったらしい。


愛する妻も子供もいて、国民にも臣下にも慕われ、懐も深く頭も切れる、歴史に名を刻むような稀に見る賢王であったと言われていた。


そしてそんな私も年老いて、ついにその生涯に幕を閉じた。



ーーーは、いいものの。



どういうわけか、前世の記憶を持ったまま異世界に生まれ変わってしまったらしいのだ。


どうしてこんなに冷静かって?

そりゃ、一国の王として何十年もその責務を負ってその生涯を終えたわけだからね。


多少のことには動じなくなるし、世界を達観して見てしまうのも致し方ないことだ。


まあ何はともあれ、私ーー今世ではイシュルという名を貰ったーーは、そうして前世の記憶を抱えながら、18歳になった。


平凡な、裕福では無いけれど優しい両親の元に生まれ、2人の兄を持ち、愛情いっぱいに育ててもらった。


王族の記憶があった身としては物足りない生活であったことは否めないけれど、まあそんな文句も言ってはいられない。


18年の間、あらゆる書物を読み漁り、様々な人から話を聞くに、この世界の文明は私が生きていた世界とそう変わらない。


ただ違うことは、魔法が存在するということくらいか。


大きな違いだと思うかもしれないが、私はあまり驚かなかった。


人が生きていく上で文明の発達は当たり前のこと。


何らかの事情で科学が発達しなかったのであれば、代わりに魔法が発達するのは至極当然のことだ。





ともあれ私は、神の気まぐれによってこの世に生まれ落ちた。


運命と運命が折り重なって交錯するこの世界で、私がこうして生きていることには、何かの意味があるのだろう。


今はまだそれが何なのかはわからないが、せいぜい足掻いてみようと思う。




家のことは2人の兄さんに任せて、私は村を出ることにした。


王都へ行って冒険者にでもなって、気ままに旅でもして、色々な人へ会おう。


そうして私が、この数奇な運命を辿っていくことになった理由を見つけてみたいのだ。




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