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ゲーム業界はアルファベットがやたら多い  作者: 黒牛魚のごった煮
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怪奇パソコン怖いΣ(´□`;)

 森の中でコツコツと材料集めに勤しんでいた。藁っぽい枯れ草、ドングリっぽい木の実、なんかどっかしらから落ちてきた木の枝、・・・・色々ある。

「ゲームの世界なのに細かいねぇ」地べたに膝を付きつつしみじみとする。

 VRゲームというのが、巷を賑わし初めてゥン十年。アニバーサリーだとかのキャンペーンが在るのだとか。

 そんなものはどこ吹く風で、十年前のゲームに打ち込んでいく紗江子。このゲームでは、サー・ハデスと名乗っている。

 あまりゲームの事が分からなかったのでネットサーフィンの果てに見つけたこのゲームをインストールしたのだが、過疎化が止まらないゲームの代名詞だったらしく。人がやけに少なくアップデートは二年前が最後になっている。

 まぁあまり対人は得意ではないので、過疎してるくらいが丁度いいか!等と思いつつモンスターをペチペチ叩きまくって、レベル40までスクスクあがった。

 イベント事は、“旅の飛び蘭”という名のワープ地点が方々に有り、困ることはないのだが季節感無視も甚だしい。

 運営も端から開き直っているらしく今までのイベントを全公開しているので季節感がなくなっている。

 一応ユーザーがごねたらしくでウイルス対策は別業者に、発注しているらしいが、運営はもう手を引いている。

 取り敢えずデッカイ背嚢を背負い、森の出口に向かってトコトコ歩いていく。

 紗江子の歩く後を物凄い美女が付いてくる。

 サブキャラ作りに熱心にチマチマ作っていたら、いつの間にかたどり着いた絶世の美女。もしも紗江子が男で一国の帝だったら彼女は傾国傾世の美として海の藻屑となっていただろう。

「私が一般ピープルで良かったね。氷雨タン」

 画面のなかの氷雨タンと画面ごしに触れ合いつつ、ギルドっぽい所へ驀進ばくしんする。



 紗江子がギルドへ驀進しているとパソコン画面に魔方陣が現れる。紫色に鈍く光る。白い靄が蠢き腕が伸び紗江子の肩を掴み引っ張っていく。紗江子はパソコンの画面にぶち当たる。

 紗江子は倒れる。肩から破れた服が血で濡れている。肩の肉が抉れている。因みに紗江子中肉中背である。

 紗江子は悲鳴をあげて部屋を出ようとする。髪を捕まれ顔に手が掛かる。強い力で引っ張られ、何とか振りほどこうと遮二無二抗う。背中に強い衝撃がおこる。机のへりに当たったのだ。

 鼻の軟骨が抉れ右目が見えなくなる。声にならない声を挙げながら地べたを這う。部屋の出入口を目指す。

「うるさいよ紗江子。今何時だとおもっているの?」

 ドアを開けるなり母親は怒鳴りつけた。そして紗江子と目が合う。血みどろの紗江子は助けを求めた。母が紗江子の顔と体を見て驚いた表情を浮かべると紗江子を残して足早に去っていった。紗江子はドアの向こうへ行きたかったが、あの腕が紗江子の髪と右足首を痛みが走る程しっかり掴み、ズルズルと紗江子を引っ張っていく。紗江子は声を挙げもがき、出入口へ向かおうとする。力の差は紗江子を出入口から遠退ける。絶望と恐怖の中でささやかな抵抗を続け辛うじて蝸牛かたつむりの歩みの様な進みだった。

 歩みは止まることなく進んでいく。恐怖が増す中地べたを見ながら方法はないか考えていた。

 光が消えた。ドアが閉められたのか?恐怖に呑まれ更に泣きじゃくってしまう。

 電光石火と言っていいと思う。黒い影が出入口から入ってきたと思うと部屋に音と怒鳴り声が響く。

紗江子は仰向けに体を捻り足下の方を見る。

そこでは宙に浮かぶ手に、母が肉切り包丁を振り回していた。

宙に浮く手を何度か切ったのか肉切り包丁に赤い粘液がまとわりつき、糸を引いていた。

何度か斬りつけた時、母の体が飛んだ。

重い音がして壁に叩き付けられて床に崩れ落ちる。その体に何本もの手が群がる。

その内の四五本が喉を絞めている。

母は声を出すことなく動かなくなった。

紗江子は、また自分の足を引っ張る感覚に完全に心が折れた。

手が紗江子の顔を掴み、強い力で引っ張る。

何度となく後頭部が固いものにぶつけられて痛みが走る が、紗江子は自分の体を思い通りに動かすことは出来なくなっていた。

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