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『狂人のふり、の思想』・・・第五話

五、



ある種の人間の目的は、人間の生命に対して無意味なことがある。それは、一般には無駄という言葉になる。

例えばその目的が、人生のマイナスに一見見えたとしても、人生は実は無駄にこそ価値があるのだ。

無駄とは、創造力のことである。機械的に物事を淡々とこなすのは、目的として意味があるが、価値はどうか。

価値とは他者が決めるものではない。それは狂人だって分かっている。狂っていることは、無駄なことではない。

狂人とは、常人の思いつかない創造力によって、新たな価値観を創造する。それが社会の発展へと繋がる。

だから、マイノリティーの狂人が、実は世界の底辺で社会を支えているのだ。それは、不可視の現象である。



自分の家には地下室はない。地下室があれば、それも真っ暗なものであれば、恐らく夜、そこで眠るだろう。

外界から自己を乖離させるやり方で、狂人は翌日に、重い瞼を開け、ゆっくりと起き上がり、朝を迎える。

例えばその部屋に、狂人が二人いたら、一体どうなるのだろう。それは、想像上のことだが、恐らくこうなる。

互いが互いの目を見て、一体どちらが本物の狂人かを言い争うだろう。そして、論破された方が常人となる。

狂人の自尊心は誇り高い。ただ、一般的に言われる自尊心ではなく、自分は劣っているという天邪鬼なものだ。

狂人のプライドとは、自分は君たちとは違うのだ、というまるで意味不明なプライドである。それは格好悪い。



しかし、その格好悪さこそが、一般人の興味を引き付ける。つまり、格好悪さこそが、格好いいと映るのだ。

不思議なことだ、そして、実は皆、狂人が、実は狂人のふりをして得をしていることを無意識に知っている。

だから、安心して、狂人を見ていられる。娯楽になる。君は見たか、あの狂人のふりをした狂人の顔を。

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