1度目の人生(後編)
魔王殺しを成し遂げてから一ヶ月が経った
俺たちは魔王を討伐しても消えなかった魔物を倒しまわっていた
王都に戻った頃、俺は王に呼び出された
俺は仲間と別れ、王城に入った
兵士は俺に向けて敬意の目を向けてくる
「失礼します。入ります。」
俺は中にいるであろう王に声をかけ、王室に入った
(あれ?誰もいねえ)
俺は王座に向かって歩いていく
(うっ………、なんだ………?)
俺は息苦しさを感じたあと、床に向かって倒れ込んでしまった
結論から言うと濃い麻痺毒が散布されていたのだ
それを知らなかった俺は誰かに後ろから倒されたのだと勘違いしていた
しばらくすると王がやってきた
おそらく部屋の中の麻痺毒が薄まってきたのだろう
王は俺のそばまでやってくると
「哀れなものだな。魔王殺しといえど麻痺毒ごときに倒れるとは。」
といった
俺は現状を理解できなかった
王も一枚咬んでいるとは思っていなかったのだ
「なぜこんなことをしているのですか!」
「まあ、落ちつけ、魔王殺しよ。」
「落ち着けるわけないでしょう!ふざけてらっしゃるのですか!?」
「お前はわしを馬鹿にしているのか。とりあえずわしの話を聞け。お前は魔王殺しを成し遂げた。つまり、お前は最強となった。この世にお前が勝てるものはいないであろう。お前がなにかのきっかけで王国に歯向かったとき、王国は壊滅してしまうということが、会議で出たのだ」
「それがどうしたのですか!」
「わしの話を聞けばわかるだろうに。脅威になる前に殺してしまうことになったのだ。正面からはお前を倒すことはできない。だから、毒という手段までつかったのだ。」
「くそっ、仲間も連れてくればよかった」
「仲間など連れてきても変わらないぞ」
「どういうことだ?」
俺はいつの間にか怒りで敬語すら使っていなかった
「なぜ、わしたちは麻痺毒などを使ったと思う?動けなくさせる魔法もあるというのに」
「まさか………!」
「そうだ、お前は毒耐性があまりない。魔法耐性は高いのだがな。お前の仲間から情報を聞き出しておいてよかった」
「なにっ?どういうことだ!仲間になにかしたのか!」
「本当に何も知らないのだな。お前の仲間はお前のことを売ったのだよ。イオルとかいうやつが王国に目をつけられることに気づいたのだな。お前以外の仲間を誘って宣言しに来た。『私達は王国に付き、絶対に裏切りません。証拠として今話題の魔王殺しの情報を与えようと思います。』とな。」
「俺の仲間がそんなことをするわけがないだろう!」
「おっ、来たか」
突然王は俺から目を離しはなし、扉の方へと目を向けた
そこにいたのはなんと…
「イオル、ガーゴ、ヤルガ、来てくれたか!」
俺は3人の仲間に声をかける
仲間たちは冷たい目で見てくる
「私達はあんたの最後を見に来たのよ。」
「もういいだろ、王様」
「そうだな、お前たちも来たことだし、もう殺してしまおう。ユークやってしまえ」
王は近衛兵に声をかけ、俺の殺害を命じる
「ちょっと待て!俺はお前たちを裏切る気はな………!」
ユークはそんな俺の言葉を無視して俺の心臓に向けてナイフを振り下ろした
(なっ、っが……)
俺の意識は黒一色に染まっていき、奈落の底へと落ちていった
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