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第一部 異世界召喚1

相川村〈あいかわむら〉。

山奥に存在し、人口も300人程度と小さな村だ。

豊かとは言い難いが、それでも村民は相川村を愛していた。


みさおも明日から東京かー!」


親戚が集まり、神楽坂かぐらざか みさおの上京の祝いを行っていた。


「うちの村から東京の大学へ行く奴が現れるなんて、嬉しいねぇ!」

「操は小さな頃から頭良かったもんね。勉強がんばって来なさいね。」


叔父、叔母に激励される。


相川村は小さな村で、若者も多くはない。

もちろん高齢化も進んでおり、本来であれば若者が村を出る事はあまり喜ばしい事ではないはずだ。

それでも、自分の上京を喜んでくれている。

相川村の人々は優しく、村人全員が個々人の幸せを願っている。


「大学卒業したら、村に戻ってくるつもりだから安心してね。」

「お!そうなのか?そういれば操は東京に何を勉強しに行くんだ?」

「民俗学だよ。叔父さん達には言ってなかったっけ?」


苦笑いしながら操は答える。


操は昔から気になっていた事があったのだ。

それは相川村に伝わる伝承「神隠し」。


相川村は500年以上前は現在とは少し離れている場所にあった。

相川という川を挟んで反対側に旧・相川村があったのだ。


しかし、500年以上前に30人を超える村人が失踪した。

これを村人は神隠しだと恐れ、村の場所を現在の位置に変えたのだ。


こちらに村を移動してからは失踪者の数は減った。

しかし、それでも未だに失踪者は後を絶たない。


失踪者の共通点は一つ。

旧・相川村へと足を運んだ者。


現在では旧・相川村は立ち入り禁止区域として指定されている。

しかし、好奇心の強い者や度胸試しをしたい者など、若者を中心として旧・相川村へと忍び込む者がいるのだ。


操は、相川村が好きだ。

だからこそ、「神隠し」の原因を特定し、失踪する者を無くしたいと思っている。

そのための第一歩として、旧・相川村での研究をするため、民俗学を学びに東京の大学へと進学する事に決めた。


「操は偉いなぁ!相川村のためにそんな事まで考えやがって…っ!」


叔父さんが泣き出した。

昔から世話をしてくれたから、もはや親の気持ちなんだろう。

相当酔っているのもあるだろうが…


「やっぱゆうがいなくなったからか…?」

「正直あんまり記憶には無いんだけどね。それでも、優兄ゆうにいがいなくなった事は、僕にとって大きな出来事だよ。」


神下かみのした ゆう

近所に住んでいた男の子だ。


操が小さい頃、よく遊んでくれ、「優兄」と呼んで慕っていた。

ところが、操が3歳、優が12歳の時、優は神隠しに遭った。



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