目撃者
佐々木刑事と葛西係長は怪しい人物ではなく被害者である大津に焦点を当てて事件発生前に目撃されていないのか聞き込みをしていた。今まで聞き込みしていたよりも範囲を大きくして大津の写真を見せて事件当日に見なかったどうか聞いた。さすがに今まで通り佐々木刑事と葛西係長の二人で探すのには無理があってもう数名と協力して調べた。
彼らは約二時間もの間大津が寄っていた可能性が高い場所を重点的に聞き、その他目撃される可能性が高いところも調べた。結果としては事件現場から一キロ離れた御徒町駅の近くのコンビニエンスストアで目撃されていた。しかしそこで誰かといたのでなく一人だった。佐々木刑事はこのことから犯人とは事件現場である恩賜公園で待ち合わせをしていたのではないかと考えた。ただそこにいた全員が思ったのは大津は御徒町駅を利用したのではないか、ということだった。葛西係長は一人の刑事を呼び、御徒町駅の駅員に大津の写真を見せてここの駅を利用していないかと何処から乗ってきてどのように見えたかを聞いて来いと指示を出した。少しは大津に関する情報が出てきてこれが怪しい人物特定に繋がるのではないかと佐々木刑事は思った。
葛西係長の携帯電話に輾隹捜査一課長から電話が入った。葛西係長が電話を取ると
「葛西、本庁に事件当日に恩賜公園から走って逃げていく不審な男を目撃したという情報が入った。今葛西がそのことを調べていると聞いて伝えておこうと思った。詳しいことは本庁にあるから。」
とほぼ一方的に話をされて葛西係長は“はい”と言うことしかできなかった。葛西係長は輾隹捜査一課長に言われたことを佐々木刑事に伝えて警視庁に二人で戻った。
警視庁に戻るとすぐに輾隹捜査一課長に会って資料を渡された。そこには目撃者の情報をもとに作られた似顔絵やその他の情報が書かれていた。その似顔絵に描かれた顔の特徴は髪はワックスで固めたような感じで目が細く鼻は少し高めで口角が上がり気味だった。この似顔絵をもとに大津の目撃情報と同じように探すとともに大津の家から押収した写真から同じ人物がいないかどうかを探すということを調べて怪しい人物を特定しようということなのである。ここからが正念場になる、そう佐々木刑事、葛西係長共に思った。




