脅迫状
佐々木刑事と葛西係長が発見した脅迫状の写しを見て、それについての詳しい情報を得ようと武田のパソコンにあるファイルを先ほどよりも細かく、慎重に開いて確認していった。元々脅迫状を発見した時にも最後の綱としてのものだったので大体が事件に関係ないか、もう既に捜査本部が知りえている情報で進展につながるものではなかった。でも脅迫状を見つけたファイルはパソコンに入っている最後のファイルではなかったため、まだ見ていないファイルが少しあった。まだ見ていないファイルを見るタイミングがやって来た。脅迫状の写しが保存されていたファイルの隣にあるファイルを開けてみると、武田による脅迫状に対する考察が書いてあった。その考察によると脅迫状の送り主は武田が驇織の毒殺事件に関して犯人特定に繋がる情報を持ち合わせていることが犯人にとって脅威でそれを排除するために脅迫状を送り付けてきたんだと判断することができるそうだ。ということは武田を殺害した犯人は脅迫状を送ってきた人ということになってその脅迫状を送ってきた人は驇織を殺害した犯人ということになる。つまり武田と驇織の殺害は同一犯ということになる。
佐々木刑事と葛西係長は報告をするために輾隹捜査一課長のもとへ行った。コンコンとノックをすると
「どうぞ。」
と輾隹捜査一課長の渋い声が聞こえてきた。葛西係長が先頭に立ってドアを開け、中へと入った。佐々木刑事はドアを閉め、二人は捜査一課長のデスクの前に並んで立ち葛西係長が話を始めた。
「武田伸之の事件の件についてお話させて頂くために伺いました。」
佐々木刑事は輾隹捜査一課長の顔色をうかがい葛西係長に話をするように促した。
「先程、サイバー犯罪対策課の方にお願いし、武田のパソコンの解析を行いました。そこで差出人が誰かと特定することができないのですが、脅迫状が届いていたことが分かりました。」
「ほぉー…それでその脅迫状にはどういったことが書かれていたんだ。」
「はい、その脅迫状には知ってはいけないことを武田が知り差出人側も武田についての情報を持っているので互いに公表しないように見たいな感じでした。」
「それだと請願書に近くないか…」
「まぁ、そこは武田がそのように表現しているのだから置いといてください。それでその脅迫状について武田が書いた文章がありましてそれによると脅迫状にに書かれた武田が知ってしまったことは驇織有佐の事件に関することらしくて差出人が犯人であると考えてよいと思われ、武田と驇織の事件は同一犯によるものだと判断することができました。」
「そうだな…では武田が得た情報とやらを探し出してもらおうか。たぶんそのパソコンに何かヒントがあるかもしれないしな。」
「はい、分かりました。」
佐々木刑事と葛西係長は深く礼をして捜査一課長室を出て、武田のパソコンを解析しようとパソコンがある部屋へと向かって歩いていった。




