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佐々木勲警部補と事件たち  作者: 渡部遥介
白い白鳥殺人事件
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何か新しいものを求めて

 部屋に戻った佐々木刑事と葛西係長は劇団で得た情報をまとめていた。劇団への捜査は元々葛西係長が派遣した三人の捜査員の情報を踏まえてだったのでそれほど大きな収穫が得られた訳ではなく自ら見たことによって確信性が得られたというだけだった。二人は正直、武田のパソコンが何か事件解決に繋がってくれることを願う他手はなかった。二人の間に少し沈黙があったが、佐々木刑事が

「葛西さん、武田の家にもう一度行ってみませんか。劇団からパソコンが発見されたのだから武田の家をくまなく探したら何か証拠物品が出てくるかもしれませんし。」

と葛西係長に提案してみると葛西係長は少し腑に落ちない顔を見せつつも

「それもそうだな。何か事件解決でも驇織タリシキの方の事件に繋がるでも何かしら成果が得られるかもしれないしな。」

と言い自ら率先して武田の家へと向かう準備を始めた。佐々木刑事は後を追うように葛西係長に続いた。

 佐々木刑事と葛西係長は武田の自宅に着くと急に刑事の顔に変わった。規制線の前で現場に入る儀式のように両刑事は背広の胸ポケットから警察手帳を取り出し、規制線の前に立っている警官にそれを見せて規制線をくぐった。武田宅に入ると疎らに捜査員の姿が見受けられたが、前回二人が来た時よりも格段に捜査員の人数が減っている。輓馬バンバへの殺害予告のせいだろう。二人は目を合わせ、葛西係長が

「一番可能性があるのは書斎だ。ただ、そこに人員と時間をあまりかけられない。佐々木、お前が書斎の中を一人で捜索するんだ。俺はここにいるわずかな捜査員と他のところを捜索する。任せたぞ、佐々木。」

と言うと疎らにいる捜査員たちを集め、指示を出し始めた。佐々木刑事は分かったと頷き、二階にある武田伸之の書斎へと歩き出した。

 佐々木刑事は階段を上って一番奥にある書斎に足を踏み入れた。部屋は余計な物は置いてない、まさに書斎という感じだった。壁は全てが本棚と化しその本棚の中に隙間なく本が詰まっている。また机の上には大量の資料が積まれていた。佐々木刑事はまず机の上にある資料の類を一枚ずつ丁寧に見た。三十分くらいかけて一通り見たがこれといって事件に関連するような物はなかった。次に机の中をあさってみたがこれもまた事件に関する物はなかった。その後、佐々木刑事は壁一面にある本棚から本を取り出しつつ棚の中や本のページの間などをくまなく探した。四方ある棚の三番目に差し掛かったところに背表紙ではなく反対の向きにある本が一冊あった。佐々木刑事はそれを取り出し、背表紙の方へひっくり返した。しかし、そこには先ほど本棚にあったような面が現れた。これは何なのか、と本の中身をみようと開こうとすると本のちょうど中心から開き、中からSDカードが出てきた。そのSDカードには「劇団殺人に関して」と書かれていた。

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