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佐々木勲警部補と事件たち  作者: 渡部遥介
白い白鳥殺人事件
33/62

自殺か他殺か

 武田の自宅を他の捜査員に任せて佐々木刑事は警視庁に戻った。葛西係長よりも上の人物に捜査の状況や死因等の判断状態を報告するためだ。遺書は事件現場周辺のコンビニでコピーし、コピーしたものを佐々木刑事が原本を事件現場にいる葛西係長が保持している。佐々木刑事は葛西係長から伝達事項を聞き、また任せられている。

 佐々木刑事は警視庁に着くと一番最初に捜査一課長室に向かった。捜査一課長室の目の前で佐々木刑事は立ち止まり、葛西係長から言われたことや何を言わなければいけないのかなどを確認してノックした。「どうぞ。」低くて渋い、そんな声が捜査一課長室から聞こえてきた。佐々木刑事は「失礼します。」と一言言ってから部屋に入った。

 捜査一課長室に入ると目の前には木製のデスクがあり、その上に金属製のネームプレートが置いてあった。ネームプレートには「捜査一課長 輾隹徹キシトリトオル」と記載されていた。デスクの後ろには有名な画家が描いたものなのだろうか絵が飾られていた。佐々木刑事は輾隹捜査一課長に「葛西係長から受け取ってきた物です。」と言って武田の遺書のコピーを渡した。「武田伸之の遺書と思われる物です。」輾隹捜査一課長は紙に目を通してから「今の捜査段階は自殺という見解なのか?」と佐々木刑事に聞いてきた。「現段階では自殺も他殺も両説あると見ています。」「その理由は?」「遺体がドアノブで首を絞めて亡くなったと鑑識の見解があり、また吉川線が無く自ら命を絶つ方法として適しているのかなど自殺者からすれば苦しみが大きすぎるのではというのが他殺の可能性を示唆しているのではないかという見解です。」「分かった。他の班に武田伸之の身辺捜査を指示しておく。お前たちの班は今回の武田伸之は自殺なのか他殺なのかを調べて結果が出たら報告しろ。」「分かりました。」佐々木刑事はそう言うと一礼して捜査一課長室を後にした。

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