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佐々木勲警部補と事件たち  作者: 渡部遥介
白い白鳥殺人事件
28/62

真犯人の気配

 佐々木刑事が本庁に引き上げてきて三十分もせずに見張りの捜査員から連絡が来た。内容としては「事務所に全身黒色で統一した容姿の人が現れて中に入っていった。」ということだった。普通事務所に入ろうともなにも動き出さないが事件の証拠を含めた情報収集のためには欠かすことの出来ない重要な出来事なのだ。佐々木刑事は葛西係長と一緒に警視庁を出て、再びホールのある鬨俵トキワラ市に向かった。

 十分程で目的の事務所に到着した。見張りの捜査員によると例の人物はまだ事務所内で停滞しているとのことだった。佐々木刑事たちが来てから五分もせずに例の人物は事務所の扉を開けて出てきた。その出てきた姿はまさしく何かの戦隊物の悪役の登場シーンのようだった。その人物からは私が真犯人だと言うかのようなオーラが漂っていたのは誰もが理解できる状況なのは言うまでもない。佐々木刑事は見張りの捜査員に「あいつを追え!」とだけ言い残してその場をあとにした。葛西係長は佐々木刑事の言葉を補足するように「何かあったら本庁に連絡してくれ。様子を見ながら私たちだったり、他のメンバーだったりをその現場に急行させるように上からの指示があるから安心して尾行してくれ。くれぐれも気づかれんようにな。」と励ましの言葉を言うと佐々木刑事と同じようにその場から姿を消した。

 一方事務所から出てきた人物は警察の気配に気づく様子もなく、ゆっくりとそして淡々と自らの車に乗ってどこかに行った。

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