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佐々木勲警部補と事件たち  作者: 渡部遥介
白い白鳥殺人事件
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事件のカギ

 “どのように捜査すればよいのか”今佐々木刑事の所属する警視庁捜査一課内でのキーワードになっている。輓馬バンバへ直接話を聞きに行ったものの、それが逆に捜査を一からやり直させる要因になってしまったのだ。今は捜査員全員が再び関係者に聴取を行い、先入観を持ったままの調査をしていた。

 佐々木刑事は葛西係長と再び輓馬のもとを訪れた。輓馬は自宅で待っているとのことだったので二人で電車、バスなどの公共機関を利用して輓馬宅を訪れた。彼女は優雅な外装の家に住んでおり、内装は白と赤で統一されていた。佐々木刑事と葛西係長は輓馬に促されてリビングと思われる部屋に案内された。二人はリビングにある食事用テーブルに座った。するとお手伝いの人なのか、輓馬より少し年配の女性がマグカップに入った紅茶を運んでくれた。佐々木刑事は会釈をし、葛西係長は「わざわざすみません。」と声を掛けた。佐々木刑事は再び輓馬の方を向いて「本題に入らしてもらいます。」というと葛西係長が持ち合わせていたカバンから一枚の紙を取り出した。その紙には事件の概要と現状で分かっていることが箇条書きで記載されていた。

 葛西係長から提示された紙をくまなく見た輓馬はまず紙を葛西係長に返してから佐々木刑事に「事件についてはどの劇団員より知っているつもりです。今、事件が白紙に戻されて一からのやり直しだということも…。そういった事を踏まえて一つ私から思ったことを言わせてください。」あたりの空気が確実に変わった。佐々木刑事も葛西係長も音を立てるべきではない、というような雰囲気でいたたまれなくなって腰を上げたくなるような感じなのだ。輓馬がその雰囲気を押しのけるように言葉を続ける。「この事件は毒物の入手経路が重要だと思います。毒物なんて簡単に手に入らない。そこがカギになる、そう私は思います。」警察は一からやり直しということだけに視野が回ってしまって他の方に目が回らなかったのだ。佐々木刑事が「参考にさせて頂きます」と言って輓馬宅を後にした。

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