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佐々木勲警部補と事件たち  作者: 渡部遥介
白い白鳥殺人事件
18/62

毒の在処

 佐々木刑事を念頭とする捜査一課の刑事たちは管理官の指示のもと、驇識タリシキが解明してしまった情報の「口封じ」という線で捜査を進めていた。捜査本部の中ではで途中から「口封じ」説を捜査する人も現れたこともあり、その捜査員から引き継ぎ等をした。佐々木刑事は基本的には聞き込みではなく、驇識の資料から情報収集をしていた。佐々木刑事の中では「口封じ」した相手である犯人は劇団内にいると思っていた。

 「白鳥ホールの中から毒物が発見されました。」捜査員の一人が佐々木刑事のいる部屋に飛び込んで来て、言った。「今鑑識さんに回してます。葛西さんから佐々木さんを呼んできてくれって言われました。」「分かった、すぐ行く。案内してくれ!」

 佐々木刑事は白鳥ホールの舞台裏のごみ箱で毒物に関係あるものが発見された現場に来ていた。そこには佐々木刑事の上司である葛西繁明カサイシゲアキ係長をはじめとする人たちがいた。葛西係長は御年56と出世が遅かった分慎重なので部下からの信頼が厚い。「ご苦労だった、佐々木。」葛西係長がそう言った。「すまないんだが、団員にここに集合するように言ってもらえないか。今は稽古場で稽古しているはずだ。」彼は慎重に言った。佐々木刑事は頷き、走って稽古場に向かった。

 佐々木刑事が稽古場につくと、役者たちが一生懸命稽古していた。演出家の渡部嘉実ワタベヨシミが怒声を上げて指導していた。稽古中の役者の一人が佐々木刑事に気付いた。佐々木刑事もそれに反応し、一礼した。すると嘉実もそれに気が付き、稽古場から出てきた。「今日は事件の調査かな。」落ち着いた感じで嘉実が佐々木刑事に自ら話しかけに行った。「そうだよ。舞台裏に集合してほしいってうちの係長が言ってる。役者を連れてきてもらえるかな。」佐々木刑事は提案するようにいった。「オッケー。すぐ行くよ。」嘉実はそう言うと、稽古場に一度戻り、役者に三言ぐらい話して佐々木刑事を入れて三十人ほどで葛西係長がいる舞台裏へと向かった。

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