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第三章 ~ドツボに嵌った・Ⅱ~

 × × × ×

 十月二十六日 (水) 十八時三十分~二十二時三十分

 第四ダンジョン攻略の続き。さてと、あの神官イリスをどうするか?ちなみに、トライのギルドに顔を出してみたけど冒険者は出払っていて、ステラ、クイルの姿は無し。エドマンドに話し掛けても頑張れ、くらいの事しか言わない。当然だけど、クイルが言う様にイリスを捕獲するしか、先に進む方法はない。

 さて、捕獲の方法を考える為に、状況を整理しておこう。イリスは単独行動で、消費EP三万一千、HP三千。消費EPに比べてHPが異様に低い。残りの二万八千は一体、どこに注がれているのか?一つは、まず間違いなく体力。食らったダメージから計算して、武器の攻撃力も含めて七千四百近く。逆に低いのが物理防御力。最初に倒した時のダメージからすると、防具の防御力込みで千二百に届かないくらい。こうやって計算出来るのは便利。それはともかく。一回の攻撃でHPの一割、つまり三百未満まで削るのは、手持ちの武器と強化パーツをどう組み合わせても無理。武器屋を見て回っても、それは同じ。あー、弓矢が装備出来たらなぁー!まぁ、無い物ねだりはさておき。さて、どうやってイリスを捕獲するか?

 ①武器を複数持ち替え戦う。

  内容:今、所持している剣が三本、強化パーツが四つ(どれも二倍強化)。基本攻撃力八百九十六の、主力で使っている両手剣に強化パーツ一つ、基本攻撃力五百十二の両手剣に強化パーツ一つ、初期装備の基本攻撃力百二十八の片手剣に強化パーツ二つ。これで三回に分けて攻撃すれば、HPを百未満まで削れる筈。もちろん三回、攻撃に耐えられるくらいのHPは必要だから、一万八千くらいまで強化しないと。幸い、HPとMPの上限値を上げる薬が売ってるから(千上げるのが二万ゴールド!)、ダンジョンを彷徨いてEPとゴールドを稼ぎつつ、この薬を購入してドーピングといきますか(アスリートだったら、どれだけの期間競技出場資格停止になるだろう?)。

  結果:ダメでした。

     良い所までは、とりあえず行った。ダンジョンを彷徨き獲得したEP全てと、購入した薬八本余りでHPを強化(消費EP四千六百余り)して、再戦してみたが。一言良い?鬼、悪魔、それでも神官か!?HPが百を切って、いよいよ次は封印、と思ったら、全回復魔法使いやがった!こっちはあと一回攻撃食らったら戦闘不能だってのに!ええ、もちろん逃げましたよ。

  反省点:HPが足りない、あるいは敏捷さか?

      HPをもっと増やして戦い続けられる様にするか?いや、敏捷さの方が先だったか?敏捷さが高ければ、物理攻撃を回避出来る確率が上がるうえに、敵の敏捷さとの間に開きがあれば、その度合いに応じて連続して複数回行動が可能になる。だから、HPを削ったら即封印、という事も可能になる筈。まぁ、とりあえず、今日はここまで。

 ● ● ● ●

 「ちょっと待て!」

危うくコントローラを投げそうになった猛であった。

「何か問題でも?」

さも不思議そうに、秀人が訊ねてくる。

「あそこまで行って全回復とか、アリか!?」

「だって神官だよ?回復魔法使って、何か変?」

「いや、だってさ!」

腹立ち紛れに食ってかかろうとして、正論にどう反論して良いか判らず二の句を継げずにいると。

「お困りの様ですね?」

向かいから梨名が声を掛けてきた。

「え、何かあるんですか?」

「しょうがありませんから、ヒントを一つ。イリスは、HPが二百未満になると、全回復魔法を使用するんです。他の状況でも回復魔法は使うでしょうけど、これはマストなんです」

「なるほど、二百未満ですか…ちょっと考え直してみます。これで何とかいくかな?」

「いくと、良いですね」

「へ?」

もはや猛は、梨名の笑顔に恐怖すら感じ始めていた。


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