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第四章 ~長丁場になった・Ⅷ~

 × × × ×

 十二月六日 (火) 十八時三十分~二十二時〇〇分

 相も変わらぬ第五のダンジョン攻略。今回からルイースの地下通路を本格的に攻略する。ここから先、EP稼ぎにはあまり向いてなさそうだからさっさと進もう。

 これまで引き返してきた当たりを越え、突き進む。左右に時たまある扉は、相変わらず大体開かない。あるいは土砂で押し潰されていたりする。通路も、天井が崩れて通れなくなってる所があったり。脇道や部屋を通って先に進む。エンカウントは多め、かな?モンスター一体で平均三百くらいEPを稼げるけど、何しろ敵パーティー全てがモンスター、っていう事はまず無いから、なかなか稼げない。それでも消費EP四万~六万くらいのモンスターを、『連撃』を駆使して倒しつつ、順調に進んで行く。連続行動回数二回をキープ出来てるから、獲得EPは体力と器用さ、五感を中心に強化してゆこう。

 迷う様に地下通路を進みながら、また新たな扉を開いた。そこは広めの部屋で、中央の床に穴が空いている。その前に進むと、イベント発生。どうやらロープを垂らせば地下墓地に下りられるらしい。今は素通りする事にして離れた。先を急ぐ。入って来たのと別の扉を開け通路に出ると、間もなくまた扉。その向こうは、さっきより広い部屋。数歩進んだ所でエンカウント。中ボスが現れた!巨大な、蛇?何か、腹の辺りにムカデみたいな足があるけど。これがほんとの蛇足、って?尾の先は錐状に尖ってる。消費EP十三万一千、HP八万。ま、頑張りますか!

 いや、結構手強かった!連続行動は出来ず、『連撃』を最大回数使っても結構外す。まだ強化が甘かったか!?毒攻撃(噛みつき)で体力が一割程下がる!クイルの行動順がなかなか回ってこなくて、状態異常回復もままならない。とにかく我慢して戦い続ける。カティアにアイテムを使わせ補う。噛みつきでパラメタ弱化魔法同様に苦しみながら、何とか倒した。獲得EP三千五百余り。それまで溜めたEPと合わせ一万四千余りを体力(一万三千、消費EP七万五千六百余り)、器用さ(一万三千、七万九千八百余り)、五感(一万、八万三千二百余り)、敏捷さ(一万二千八百、八万六千四百余り)にする。先を急ごう。

 部屋を出、地下通路を進む。左側に、ぽっかりと口を開けた壁がある。扉が壊れてるんだろう。中に入ってみる。かなり広くて、今までとは雰囲気がかなり違う。何というか、荘厳な感じ?中央には高い祭壇みたいのがあり、階段があるけど上がれない。周囲をぐるぐる巡ってみるとイベント発生。金属の箱が落ちている、と。鍵の部分が壊され、中は空っぽだとも。蓋が開いたままだったから、中には埃が積もっていて、蓋には『門を御するもの』と書かれたプレートが嵌められているそうで。クイルが、これは、もしかしたら召喚魔法陣の制御板が納められていた箱ではなかったか、と推測を言う。三十年以上前、『大いなる叡智』はここで制御板を入手し、神殿の遺跡に持ち込んだのだろうと。イベントが終わり、通路へ出る。少し先へ進むと、またイベント。曲がり角から姿を現わした三人の男達と出くわした。戦士と神官、魔術師。クイルが声を上げた。あっ、お前は、エドマンド氏の噂を流していた魔術師!、と。男達がギョッ、となった。クイルが重ねて、ギルドから追放された筈、なぜここに居る!?まさか、『大いなる叡智』の者か!?、と問えば、三人はやがて笑い出し。魔術師は、いかにも。『あのお方』をあの様な状態にしたエドマンドの名誉を貶めてやろうとしたが失敗した。しかし今や、あの愚か者の薬で『あのお方』は正気を取り戻された。かくなる上は貴様らをここで討ち取り、次は直接エドマンド父娘を亡き者にしてくれる!、と吼え、戦闘開始!

 うん、まぁ、強い方だったとは、思う。ただ、今更消費EP七万~九万、HP四万~六万程度の敵じゃあ、ねぇ?四回連続行動が出来たから、前衛の戦士と神官に戦斧の『連撃』をお見舞いしたら、一回目で全滅。三回目は武器を投擲ナイフに持ち替えて『連撃』を叩き込んだら戦闘不能に。うん、予想通り、何も無し。あー、本当に稼げないダンジョン!仕方ないから、そこまで溜めたEP四千余りを知力(一万二千、八万九千四百余り)、器用さ(一万四千、九万四百余り)に。『連撃』をまた強化しよう。

 これまで溜まりに溜まった鬱憤を晴らすかの様に、とにかく突き進む。今までのところ、特に危ない場面は無し。ダンジョンボスに遭遇したら、どうかは判らないけど。とにかく進んで行くと、行き止まりになった。左側の扉を開け、細長い部屋に入る。入口横にセーブポイント。いよいよ、と覚悟を決めてセーブ。壁に穴が空いてたのでそちらへ向かうとイベント発生。黒い霧を纏った魔術師の男が現れた。いきなり戦闘になるか、と思いきや。落ち着いた調子で、貴様達は何者か、と訊いてくる。クイルが、モンスターを討伐中の冒険者だと答えれば、鼻でせせら笑い、その様な事を幾ら繰り返そうと、貴様達には何も変えられぬ、と。しかし、我らのともがらとなれば、新たな世界へ誘おう、と、こうくる。新たな世界とは何か、と訊けば、知れたこと、神々のいます世界よ。我らは神々を失い、今日の様な混沌たる争いの絶えぬ世界に転落したのだ。今こそ再びこの世界に神々をお迎えし、その意の元に完全なる世界を創造するのだ、と、あの金属片を取り出し、これは門を開く為の鍵の一部よ。残りの部分を全て入手し、門を正しく開くならば、我らの前には安寧と究極の美に彩られた世界が出現するのだ、と。クイルが、誰がその様な事を、と言い掛けた所で、『お試し一号』が口を開いた。ここに残りの一部がある。願いを叶えるならくれてやっても良い、と。驚くクイルとカティア。満面の笑みを浮かべた男が、ほう、その願いとは何か?、と訊けば。あんたの言う門を完全に閉じて、二度と開かない事。もちろんその場に立ち会わせて貰う、と。男は顔面を歪ませ、この身の程知らずが。ならば力ずくで貰い受ける、と、ここで戦闘開始。

 イヤー、楽勝楽勝!ダンジョンボスがこれで良いの?、ってくらい!消費EP二十八万四千でHP二十四万と破格だけど、まぁ、その他が貧弱!四回連続行動出来たから、後衛の男に投擲ナイフで『連撃』叩き込んだら、三回目で倒せた。こっちはノーダメージ!

 男が倒れた後もイベントは続いて、この愚か者共が、神々のいます世界に臨める好機を放棄するか、と男が苦しげに呟くと、私達をこの世界に置き去りにした連中に、今更ノコノコ出てこられてでかい顔なんかされて堪るもんですか!、とカティアは吼えた。クイルも、大天使がお隠れになる前より営々と築かれてきた私達の文化、文明を、根本から破壊しかねない様な暴挙には、断固として立ち向かう、と答えた。それが貴様達の限界よ、と呟き、男は何か唱えた。爆発が起き、壁の穴が塞がれる。男は、これで神殿に至る道は唯一となった。調査隊の通った道は、今や貴様達では到底通れぬ、と言って哄笑しようとしたが、血が口から溢れ事切れた。金属片とゴールド、四千五百余りのEPを獲得した旨が表示された後、クイルが、トライに戻りましょう、と言って暗転、トライのギルドに。

 ギルドでは、報酬として二万ゴールドと防具用強化パーツ(二倍のアビリティ無し。加工済み。やったぁ!)を貰った後、クイルがこれまでの事を逐一報告した。その場に居合わせたエドマンドは、神々について私達は殆ど何も知らない。それを招来すれば、徒に世界を混乱させかねない。『お試し一号』達の行動を、私は支持する、と言った。賛同の声が続々と上がる中、カティアが、ところで、調査隊の通った道ってどこ?、と訊くと、エドマンドは、ふむ、ヘキサとかいう街のダンジョンであろうな、と言った。途端、ギルド内には静寂が落ちてきた。カティアは、それ、無理じゃん、と呟いた。これでこの章は終り。あーあ、最後はジェットコースターだったなぁ。

 ● ● ● ●

 「あーあ、長かったぁー!」

これまでにないボリュームのダンジョンを攻略し終えた達成感よりも、何とも言えぬ疲労感を猛は覚えていた。

「お疲れ様、どうだった?」

そう言う秀人の表情は、いつもの様なニヤけ顔でなく、優しげであった。

「…でもさ、何か、嫌な予感がするんだけど?」

「ン、何が?」

「いや、最後さ、次のダンジョンはかなりのムリゲーですよ、って予告してなかった?」

「ははは、気付いたかぁー」

あのニヤけ顔が復活した。肩をバンバン叩いてくる。猛は思わず深い溜息をついた。

「…で、どれくらい」

どれくらい手強いのか、と問えば。

「そうだなぁ、まぁ、今までのはただの助走だったって思えるくらい、かな?」

「長ッ!助走長過ぎ!」

机に突っ伏してしまう猛に。

「でも、ま、新しいシステムも入るし、それほど苦痛には感じないと思うよ?」

「また間が空くの?」

「いや、来週には始められると思う。猛が手間取ってくれてたお陰でね」

「へぇへぇ、どうせ効率が悪いですよ」

「そんな事は無いと思います。バランスにも問題があると思いますけど」

向かいから、名波が助け船を出してくれた。

「それを調整する為のテストプレイでもあるしね。いつもたっぷりプレイデータを残してくれるから、ほんと重宝してるよ」

「まぁ、それなら良いけど」

首をコキコキいわせ、猛はデイパックを手にしたのであった。


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