第四章 ~長丁場になった・Ⅴ~
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十一月二十五日 (金) 十八時三十分~二十二時〇〇分
変わり映えしなくて申し訳ないけど、第五のダンジョン攻略の続き。今回からは本格的に攻略を進めよう。
この前開いた大扉のところまで順調に進む。まぁ、時折トラップに引っ掛かったりはしたけど。トラップには毒の他に各種パラメタを低下させるものがある(当然、戦闘時に影響がある)。その都度クイルに治療してもらい、戦闘に影響が出ないよう気を付けてきた。中ボスのいた部屋に入るなり、前と同様戦闘に。投擲ナイフに持ち替え、『連撃』で三回連続攻撃。うーん、全て命中しても三分の一足らずしか削れない。被ダメージは二千ちょっと。あまり気にならない。試しに火系攻撃魔法も使ってみる。まぁ、予想したよりは少し上かな?カティアには『アイテムスティール』を試させる。失敗。クイルにHP回復して貰う。連続行動が出来ないから、モタモタと戦闘は進み。ゴリラみたいなのを倒して獲得したEPは、器用さと敏捷さに。ここまで稼いだのと合わせて消費EPは一万二千余り。部屋を出、先を進む。また大扉。一体幾つあるんだ?左側の扉を開け、入ると…やっぱり戦闘開始!今度はオランウータンみたいなモンスター。相変わらず後衛から魔法攻撃。こちらも投擲ナイフでの『連撃』&魔法攻撃。あっ、クリティカル!呆気なく戦闘終了。改めてクリティカルの強力さを思い知った。八百余りのEPを器用さと敏捷さ、あとMP上限値に少し。スイッチを操作し、大扉を開く。このまま先に進む。キツくなったら引き返そう。
結構順調に先を行く。器用さ、敏捷さを重点的に上げ続けていたら、二回連続行動が可能になり『連撃』でもミスが滅多に出なくなった。これで奇襲されなければ、無傷で戦闘終了できる。この辺を、一応の進退を見極める基準にしよう。ザコ戦でこれくらい余裕がないと、中ボス戦とかはかなりヤバそうだし。次にダンジョンを出たら、『連撃』を強化しよう。それまでに器用さももっと上げておかないと。
ラッキィ!このダンジョン攻略開始以来二つ目の強化パーツゲットォォォ!しかも防具用の二倍の(『物理防御力十パーセントアップ』とかアビリティも付いてれば良かったけど)。しつこく『アイテムスティール』を繰り返した努力(?)の成果!ダンジョンを出たら加工、装着しよう。あー、ダンジョン内でそれの出来る職業があればなー。
三つ目の大扉が、目の前に立ち塞がっている。はぁー。とりあえず、右側の扉を開け、入ってみる。手長猿みたいのが大挙して襲ってくる。今度はやたら発達した両手での物理攻撃。すばしっこい上に攻撃も当り辛い。結構HPも高め。前衛を両手剣で一体ずつ倒して行く。前衛が片づいたら、後衛が前衛に。結局、結構な時間が掛かってしまった。まだまだだったか。獲得EP九百余りを器用さと敏捷さに。これで消費EPは一万四千二百余り。器用さも敏捷さも三千を超えた。もうちょっと知力も強化して、魔法の使い勝手を良くしようか。まだまだ強化すべき点が多い。スイッチを操作し大扉を開く。とりあえずダンジョン攻略はここまで。離脱魔法のスクロールでトライに戻ってきた。
防具屋で入手した強化パーツを加工、装着して貰う。物理防御力千五百三十六、魔法防御力千二十四。装備すると物理二千百七十六、魔防千四百八。教練場に行き『連撃』を四に強化。ゴールドが少し溜まったので、ドーピングでHP上限値を四万五千余りに。ギルドでセーブして、今回はこれまで。
十一月二十八日 (月) 十八時〇〇分~二十一時三十分
前回からの続き。とにかく先へ進む事だけを考えよう。
第三の大扉のところまで、チャッチャとザコ戦を片付けながら進む。開かれた大扉を潜り、マップに新たな足跡を刻む。まぁ、これまでと変わり映えのしない通路が続いているだけ、なんだけどね。時折トラップを解除し損ねたり、入れる部屋で発見した宝箱から貴重なアイテムを入手したり(高級なHP、MPの回復薬や、離脱魔法のスクロール等)結構気楽に先へと進んで行く。この調子で地下通路を抜けられたら、良かったんだけど。
出ましたぁ!第四の大扉!!今度は左右に扉があって。これ、どっちかに中ボスが居るって事?まず左の扉。中に入ると、何も無い部屋。当然スイッチは無し。次は右の扉を開け、中へ。入るなり、戦闘開始。
今度は毛深いけど二足歩行の…雪男?イエティ?足が異様に発達している、という事は。足蹴りが飛んでくる!でも、当らない!当っても、三千くらいしかダメージはない。『連撃』食らわせたら結構手早く倒せた。獲得EPは千余り。道中溜めてきたEPと合わせ、器用さ、敏捷さ、知力に割り振る。これで知力は千余り、器用さ三千五百余り、敏捷さ三千九百余り、消費EPは一万四千八百余りに。スイッチを操作し通路に出る。大扉を潜り、暫く進むと少し広い部屋があった。そして、その隅にはセーブポイント。いよいよですか。それまでの戦闘で溜まったEP七百余りを五感に(全然強化して来なかったし)。セーブをして部屋を出る。少し通路を進むとイベント発生。黒い霧を纏った軽装の、筋肉ムキムキな男が現れた。消費EP七万四千、HPは五万二千。波●拳でも撃ってきそう。これがダンジョンボス?何かブツブツ言っていた男は突然、「『大いなる叡智』に栄光あれ!」とか叫び、襲い掛かってきた。戦闘開始!
何か、こういうの久々な気がする。格闘家である敵は、『体力強化』と『敏捷さ強化』でパラメタを上げてきた。それぞれのスキルは、対応するパラメタ値を一時的に一.五倍まで上昇させる。まぁ、攻撃が当らない。幸いなのは、相手の攻撃も滅多に当らない、って事。器用さが低いんだね。でも滅多、っていう事は、ゼロっていう事じゃないから、一発当ったら一万一千近くも削られる。更には『岩砕拳』とか、命中したらクリティカル確定のスキルも使ってくる。まぁ、命中率も下がるし当らないけど。たまに、棍(攻撃レンジ『中』)に持ち替えて攻撃してきたりも。ま、前衛に『お試し一号』が居るんだから、カティア達に攻撃は届かないけど。と、それはともかく。このままじゃ埒が開かない。せっかくだから、ここは逃走!
ちょっと強化が足りなかったか。ダンジョンを戻りながら強化しよう。せめてスキルを使われても互角に戦えるくらいに。大扉一~三の中ボスは復活してる筈だから、軽く片付けよう。元来た道を引き返す。ダンジョンを出てワールドメニュー画面に戻るまでに稼いだEP三千余りは器用さと敏捷さ、それと知力に。物理攻撃が当らない時の保険として、魔法攻撃をもう少し強化しないと。これで器用さ四千五百余り、敏捷さ四千九百余り、知力二千余り。消費EPは一万八千五百余りに。トライへ戻る。
ドーピングでHP上限値を四万八千余りに。今の経済状態じゃ、これで精一杯。ギルドでセーブして、今回はここまで。
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「ふぅ。第五のダンジョンも、先が見えてきたかな?」
一つ大きく伸びをし、椅子に体を預ける。あの格闘家さえ倒せばクリア、と思っていたが。
「何言ってるの?このダンジョンは、ここから先が本番なんだけど?」
「ええっ!?」
傍らでニヤついている秀人の言葉に、思わず猛は身を起こした。
「このダンジョンは、『ピット砦の地下通路』から、ルイースの地下へと繋がってゆくんだから。そこでこのRPG上重要な事実が明らかになるんだ。それは、この世界に住む人間達の、アイデンティティや世界観に関する話になってゆくんだよ」
「へぇ?そんな、随分と大層な事言って、ショボかったら締まらないよ?」
「はは。その辺は兄貴が最初に考えてたところだし、みんなでゲームに落とし込んできたんだから、そんな事はないよ」
「ふーん。随分と、お兄さんを信頼してるんだね?」
「まぁ、兄貴は優秀だからね。でもそれをどう料理するかは僕達次第だから」
屈託のない笑顔。才人の思惑は、確実に成功に向かっているな、と猛は思った。
「まぁ、そうか」
「とにかく、楽しみにしといてよ。お疲れ様」
「うん」
デイパックを取り、立ち上がった猛に一斉に、「お疲れ様」の声が掛けられた。




