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うちの娘は世界で一番可愛い  作者: 青葉桂都
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お父さん抱っこ

 だいたいにおいて、俺の朝は遅い。

 いや、本当のところ遅くちゃダメなんだけど、朝起きるのが苦手なので結果としてそうなっている。

 妻に仕事に遅れるからと起こされるのは日常茶飯事。

 実家ぐらしだった頃、毎日のように母に起こされていた時からまるで進歩がないなあと思うのだが、現実に起きられないのだから仕方ない。

 今日は日曜日。半分寝ている状態でベッドでぐだぐだと……。

「おっきろー!」

 突然、耳元で、ちょっとノイズ混じりの大きな声が放たれた。

「わあっ!」

 大仰に驚いた声を出して、飛び起きてみせる。

 おもちゃの拡声器を手にしているマナは楽しそうにけらけらと笑っている。

「おとーさん、早く起きないとおいてくよ」

「ああ、わかったよ、起きる起きる」

 仕方なくそのままベッドから起き上がる。

 いや早く起きなきゃいけないとわかってはいるのだ。

 今日はマナの服を買いに、家族3人で出かける予定の日なのだから。

 携帯を開いて時間を見ると、もう10時半くらいだった。確か妻は、10時くらいには家を出たいと言っていた気がする。

 微妙に文句交じりに声をかけてくる妻に謝りながら、出かける準備をし始める。

 とりあえず軽く食事もして、準備ができた時はもう11時をとっくに過ぎていた。

 うちの部屋は一階なのでマナの足でも外に出るまでは30秒もかからない。

 マンションの入り口にある、ちょっと固くて開けにくい扉を押し開けて、外へ。

「ねー、おとーさん」

 両手を広げて、マナが俺を見上げてくる。

 抱っこをせがむ時のポーズだ。

「……マナさん。少しは自分で歩こうね?」

「えー! でも、つかれちゃったからもうあるけなーい」

 ほほう。

 三歳児とはいえ、玄関からマンションの外まで出るのが、そんなに重労働だったのか。

 普段は保育園までちゃんと歩いているはずなんだが。

「ねー、だっこだっこー! おとーさんのだっこがいいー!」

 俺は大きなため息をついた。

 マナの脇の下に手を入れ、抱き上げる。

 日々成長しているマナは体重ももうずいぶんと重くなっている。

 最初は一日ずっと抱いていてもまったく平気だったのに。

「おとーさんだーい好き」

「ああ、お父さんもマナが大好きだよ」

 現金な娘をぎゅっと抱きしめてやって、俺は歩きだした。


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