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うちの娘は世界で一番可愛い  作者: 青葉桂都
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足を伸ばして

 土曜日の夜、8時過ぎくらいだろうか。

「あー、おっこっちゃった」

 俺がソファに寄りかかっている横で、マナは子供用のイスに座っている。

 テーブルの上に置いた3DSで、動画を見ているようだ。

 画面をタッチして操作できるため、3歳児でも1人で動画を選んで見られる。

 俺は週休2日で土曜日は休み。副業でやってるバイトのシフトも入っていない。

 なので、レンタルしたDVDを見ながら、ガラケーのRPGでレベル上げをしていた。

「ざんねーん!」

 動画で誰かがなにか失敗したらしい。

 マナが手を叩いて喜んでいる。

 時間的には、そろそろ寝かせてもいいのだが……共働きで両親とも夜型なので、マナも夜型になってしまっている。

(今日は昼寝しないで遊んでたから、眠たいはずなのにな)

 そんなことを思いながら、DVDをながめる。

 アクションものの洋画は7割がた終わり、主人公たちが起死回生の策を立てている。

 と、いきなりマナが視界を横切った。

 ソファの上に並んでいたいくつかのぬいぐるみを持って私の前に来たのだ。

「どうした?」

「おとーさん、あし、長くして」

『長くして』というのは『伸ばして』という意味だ。

 マナはよく俺の脚を壁に見立てておままごとをする。

「ああ、いいよ」

 なので、素直に脚を伸ばしてやった。

 マナが俺の脚を押し開く。自分が間に入るスペースを作っているのだ。

 足の付け根側にぬいぐるみたちを並べたかと思うと、またソファのほうへ。

「忘れ物?」

「うん」

 持ってきたのは、マナがよく毛布代わりにしている妻のひざ掛けだった。さらに、普段はソファのカバーになっているキャラものの毛布も。

(何をするつもりだろう?)

 首を傾げているうちに、マナはまず毛布を脚の間にしいた。

 それから、ひざ掛けをその上に広げる。

 これで準備完了。

 愛娘はいそいそと毛布とひざ掛けの間に入り込んだ。

「おやすみなさーい!」

 俺に元気よく声をかけると、人の体を枕代わりに寝転がる。そして、ぬいぐるみを抱きしめた。

 眠たいんだろう。

 今日は昼寝をしていないことだしな。

 ちゃんと敷き布団と掛け布団を用意するなんて、なかなか芸も細かいじゃないか。

 だが……。

「マナさん? ちゃんとベッドで寝てくれると、お父さんは嬉しいんだけどな?」

 俺の言葉をスルーして、マナはいつも寝る前にベッドでしているように、ぬいぐるみとじゃれていた。


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