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うちの娘は世界で一番可愛い  作者: 青葉桂都
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ちゃんと寝てなさい

「ただいまー」

「おとーさんおかえりー」

 昼過ぎに、ちょっとふらつきながら家に帰った。

 昨夜からなんだか頭が痛くて、朝にはさらに熱っぽさも加わっていた。

 今日は土曜日で休みだが、歯医者を予約していたので出かけることにしたのだ。

 結論から言えば失敗だった。

 調子の悪い時は寝ているに限る。

 帰った後、とりあえず歯医者の近くにあるファーストフードで買ってきたハンバーガーで遅い昼ごはんをすませる。

 とりあえずお腹がいっぱいになったところで、一眠りすることにした。

「おとーさん、どうしてパジャマ着るの?」

 パジャマに着替えている父親に気づいて、マナが声をかけてきた。

「マナ、お父さんは風邪をひいて頭が痛いので寝んねするからです」

「そうなんだー」

 部屋に戻って、ベッドに入る。

 ちなみにうちではマナと妻がセミダブルのベッドで一緒に寝ていて、俺は1人でシングルのベッドを使っている。

 セミダブルでは3人並んで寝るには狭いのだけれども、かといってダブルで買い直す余裕もない。

 そんなわけで、俺は独身時代に使ってた壊れかけのシングルに寝ているのだ。

 ベッドに入ると、マナが扉を開けて近づいてきた。

 俺に向かって手を伸ばしてくる。

「おとーさんおやすみー」

 小さな手が届く位置に俺の手を差し出してやると、マナが軽く叩いて言った。

 マナが寝るときにいつもやる、おやすみなさいの合図だ。

「おやすみ、マナ。でも、風邪がうつるからお父さんには近づかないようにね」

「はーい」

 扉を閉めて去っていく娘を見送ってから、俺は少しばかり眠った。


 目が覚めた時には、4時間半ほど経過していた。

 もう外は暗くなっている。

 起き上がるとまだちょっと頭が痛かったので、また横になって目をつぶってみる。

「……眠れないな」

 さすがに二度寝はできなかった。

 とりあえず枕元に置いていたガラケーを開いて、横になったままゲームを始める……。

 と、扉が開いた。

 ゲームの音か、身動きした気配に気づいたのだろうか。

 あるいは時々父親の様子をうかがいに来ていたのかもしれない。

 マナが覗き込んでいた。

「どうしたの、マナ? お父さん寝んねしてて、寂しいのかな?」

 3歳児の目では見えないだろうが、暗い部屋の中から笑いかけてみる。

「おとーさん、ちゃんと寝てなきゃダメでしょー!」

「……はい、ごめんなさい」

 怒られたので謝ると、マナは満足げに扉を閉める。

 ゲームを終了して、俺はベッドの中で目をつぶった。


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