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四話 帰宅

「ただいまー。」

トタトタトタ

「お兄ちゃんお帰りなさーい!」

家に帰ってくると、妹の窓香(まどか)が迎えてくれる。ゆさゆさと揺らすツインテールに、ちょこっと出ている八重歯がなんとも可愛らしい。確か、中学3年生になったんだっけ。

「う〜ん。スリスリ〜。」

気がつくと、窓香が僕に抱きつき、頬ずりをしていた。本当に窓香は甘えん坊だなー。

「窓香。お兄ちゃんが恋しかったのは分かるが、そのくらいにしときなさい。政宗、おかえり。学園の方はどうだったか?」

「父さん。心配しなくても大丈夫だよ。」

本当に父さんは心配性だな。まあ、分からなくもないけど…。

「政宗、鞄を置いてきなさい。もうすぐ晩飯だぞ。」

「うん。分かったよ、父さん。」

僕は急いで部屋に鞄を置いて、居間に向かう。

「政宗、おかえりなさい。今日の食事は腕によりをかけたのよ。」

そう言って母さんは微笑む。

「ありがとう母さん。どれも美味しそうだね。」

そう言って僕は、席につく。

「それではいただこうか。」

父さんのその言葉で、みんなで合掌する。

食事を始めると、僕の学校の話で盛り上がる。最初にその事を言い出したのは父さんだ。

「政宗。クラスメイト達はどうだったんだ?」

「みんなとてもよくしてくれるよ。友達って言うにはまだ早い気がするけどね。」

みんなはきっと、僕に気をつかってくれただけだろう。優しい人達でうれしいな。

「お兄ちゃんは部活、何か入るの?」

「うーん。今のところはまだ決めてないかな。」

部活か。確か150くらいあるって木ノ下先輩が言ってたよね。その中から一つを選ぶなんて大変だろうなぁ。

「案外、気になる人がいたり?」

「あ、うん。いるよ。」

「!?〜ンッ!」

「って窓香!?」

母さんの問いに答えたと同時に、窓香がご飯を喉に詰まらせたようだ。僕は急いで窓香に水を渡し、背中をさすってあげる。

「はぁ、はぁ。ありがとう、お兄ちゃん。」

「このくらいたいしたことないよ。それより、どうしたんだい?」

「ってそうそう!お兄ちゃんどういうこと!」

いきなり窓香が怒鳴る。うー、耳が…。

「お、落ち着いて。一旦何のことだい?」

「・・・だってお兄ちゃん…、気になる人って…、好きな人がいるって…。」

今度はショボンと落ち込みながら話す窓香。ん?好きな人?

「あ、違うよ。そういう意味じゃないって。隣の席の子で、話しかけても何も反応しなかったからさ。何か気づかないうちに悪いことしちゃったのかなって。」

「なーんだ。そうだったんだー。ビックリしたー。」

窓香はすっかり元の調子に戻っている。

「もしかしたらその子、人見知りなのかもしれんな。気長に接していけば、大丈夫じゃないか?」

「うん。そうしてみるよ。ところで窓香。なんでさっき、あんなに動揺してたの?」

「!?そ、それは…。」

急に顔を真っ赤に染める窓香。熱でもあるのだろうか?

「うふふ。窓香はお兄ちゃんのこと大好きなんでしょ?」

「お、お母さん!」

「?僕も窓香のこと大好きだよ?」

「!?〜!」

ん?また更に顔が赤くなった。やっぱり熱でもあるのだろうか?

「窓香。ちょっとジッとしてて。」

「!?〜!」

窓香の額に僕の額を当てる。うーん。熱は無さそうだ。

「うーん。まさかホットフラッシュ?けど汗は出てないし…。斑点状(はんてんじょう)ではないから肝機能障害(かんきのうしょうがい)の確率も低いし…。もしかして(しゅ)さ?けど日本人は中年男性が主だし…」

「・・・お兄ちゃん?何言ってるの?」

おっと。考え過ぎてて声に出ていたようだ。

「いや、急に窓香の顔が赤くなったからなにか病気なんじゃないかって思ってね。どこか具合悪くない?僕としては…」

「お兄ちゃんのバカ!」

・・・どうやら窓香の機嫌を損ねてしまったようだ。うーん。こういうのってよく言う女心ってやつなのかな?僕には分からないな…。男は死んでから女心を分かるって本で見たことあったけど、本当にそうなら遅過ぎないか?そもそも僕としては死んでも分かりそうにないんだけどね…。

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