二話 自己紹介
「今日からここが君の教室よ。」
今僕は、2年C組の教室の前に来ている。話しかけてきたのは、担任の先生の飯田 千春先生だ。
「それじゃあ、君はここで合図を出すまで待っててね。」
そう言うと、先生は教室に入って行った。
それと同時に教室の中からガタゴトと音がなる。生徒達が自分の席についているのだろう。
「皆さん、おはようございます。とうとう皆さんは今日から二年生ですね。一年生も入ってき、皆さんも先輩の仲間入りです。後輩達のお手本になれるよう、けじめのある行動を行ってください。」
そっか。僕もう二年生なんだっけ。なんか複雑な心境だなー。
「では皆さん。まずは一学期を乗り切りましょうね。」
コツコツコツ
「?」
あれ?なんか終わりっぽい雰囲気がでてません?というか足音が近づいてくるのは気のせい?
ガラガラガラ
「「・・・」」
扉が開き、先生と目が合う。そして少しの沈黙のあと…
「ご、ごめんなさい!転校生を紹介するのを忘れてました!」
「「「「「「「「「「えぇー!」」」」」」」」」」
僕とクラスにいる全員が驚きの声をあげる。
まさか本当に忘れられていると思わなかった。僕そんなに影うすいかな?
「えー、気お取り直して。転校生を紹介します。入ってきてー。」
「はい。」
ザワザワとクラス全員が僕に注目する。
僕は評壇の横に立つ。とにかく自己紹介をしないと。
「今日からこのクラスにお世話になります、喜佐見 政宗です。趣味は読書。特技は瞬間記憶能力。最近はドイツ語の本を読むのにハマってます。」
・・・何でだろう?クラス全員が静まり返っている。て、しまった!普通に自己紹介をしてしまった!これじゃあ場をシラケさせてしまう!どうしよう!何か早く面白いこと言わないと…
「・・・えー、政宗くんの席はあの後ろの窓側の席ね。」
「あ、はい。」
まぁいっか。クラスのみんなとはゆっくり仲良くなって行けばいいし。それより席につかないと。
政宗は自分の席につく。
お、そうそう。一応隣の席の人には声をかけておこう。
「あ、初めまして。」
「・・・」
え!?無言!なに?僕何かやらかした!?うあー、どうしよう!とりあえず謝らないと。
「ご、ごめん。なんか僕、君に失礼なことしちゃったかな?」
「・・・話しかけないで。」
うあー!初日そうそうやらかしてしまった!まさかここまで嫌われているとは!くそー!僕はなんて馬鹿なんだ!
「そ、それじゃあ皆さん。喜佐見くんと仲良くね。」
そう言うと先生は教室から出て行く。そしてそれと同時に…
ガタガタガタガタガタガタ!
ちょ、えー!
クラスのほとんどの人が政宗の周りに集まってきた。
「なぁなぁ、瞬間記憶能力ってなんだ!?教えてくれよ!」
「ドイツ語の本読めるなんてもしかして喜佐見くんって頭良いの?」
「部活はどこに入るんだ?良かったら野球部に入らないか!」
クラスメイト達が次々と質問をしてくる。
「ち、ちょっと待って!僕、聖徳太子じゃないからそんな一斉に言われたってわからないよ!」
と、とにかく一人一人の質問に答えていくしかない!
二十分後。なんとか一通り答えることが出来た…。しかし、まだ終わらない。あー、誰か助けてくれー!
「あの、喜佐見くん。ちょっといいかな?」
あれ?今の声どっかで聞いたような…。
「あ、あなたは朝の!て言うかなんで僕の名前を?」
「実は、先生方にあなたに校内を案内してやってくれと頼まれまして。」
ふむふむ。なるほど。・・・ん?
「あれ?けどなんであなたが頼まれたんですか?ここのクラスにいましたっけ?」
「あ、それは私が生徒会長だからです。」
「なるほど。そうだったんですね。それじゃあお願いします。」
政宗は生徒会長について行こうと立ち上がったのだが…
「ちょっとまって!なんで喜佐見くん生徒会長さんとそんなに親しいの!?」
「?そうかな?」
「そうだよ!羨ましいぞ喜佐見!」
へぇー。生徒会長さんってみんなに慕われてるんだなぁ。
「えーと。そろそろいいかな?」
「あ、すいません待たせてしまって。」
改めて、政宗は生徒会長について行く。