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九話 体育

昼休みが終わり、今から5時間目の体育だ。女子は第1体育館、男子は第3グラウンドに集合している。ここの学園には体育館とグラウンドが3つある。クラスが多いため、授業が被った時に1つしかないと不便なためだから、っと木ノ下先輩が案内してくれたときに説明してくれたのだ。

「今日はグラウンド3周走ってもらう。」

体格の良い体育担当の先生がそう言う。

「「「「「「「「「「えぇー…。」」」」」」」」」」

どうやら基礎体力テストの一つの1500m走をするようだ。ここのグラウンドは1周500mだったし。しかし、何でみんなそんなに嫌がるのかな?

「あー、めんどくせー。」

宗輝くんが愚痴をこぼす。

「そうかな?僕としてはとても楽しみなんだけど。」

だって1500mだよ?普段そこまでの距離を走ることってほとんどない訳だしね。

「あーやだやだ。どうせお前、走んのに自信があるからそんなこと言えるんだろ。」

「?そんなことないよ。」

僕はただ体を動かすことが好きなだけなんだけどなー。

「はい出たー。テストとかで自信ないとか言いながらめっちゃいい点とる的なヤツー。んなもんで俺が騙せると思うなよ。」

うーん。本当にそんなつもりはないんだけどな…。

そうこう話しているうちに、僕達はスタートラインの近くに立っていた。まもなく始まるだろう。

「それじゃあいくぞー。スタート!」

その一言で、僕達は一斉に走り出した。

「はぁ、はぁ、はぁ…。」

走り終わり、僕はぶっ倒れていた。正直、胃の中身が全部出そうだ。それに頭痛もする。水分不足なのだろうか。脇腹(わきばら)も痛いし、酸欠(さんけつ)みたいだ。

タイムの結果は14分26秒とダントツのドベだった。

「おい政宗!?お前マジで大丈夫か!?なんか死にそうになってんぞ!?」

宗輝くんが声をかけてくれるけど、今の僕に言葉を返す余裕がない。

「先生!政宗を保健室まで連れて行って来ます!」

「あぁ!急いで連れて行ってやれ!」

宗輝くんはファイアーマンズキャリーで僕を運ぶ。安定はしているけど、微かな振動が頭と胃に響く。

「も、宗輝くん…、は、吐きそう…。」

「ちょっと待て!近場にトイレがあったからもう少し堪えろ!」

直ぐにトイレに連れて行ってもらい、胃の中身を全て吐き出した。吐いたことによって、胃の方はスッキリしたけど、頭痛が激しくなる。吐いたことにより、急激に体内の水分が出されたからだろう。すぐ近くの手洗い場の水で口の中を洗い流し、水を飲む。お陰で頭痛は少しずつ痛みを和らげていく。

「政宗。お前顔が青いぞ。」

「・・・だろうね…。」

頭痛と吐き気に襲われたんだし、そうなってても不思議じゃない。今も宗輝くんに返事を返すのがやっとだ。

「肩貸してやるから、さっさと保健室にいくぞ。」

宗輝くんの言葉に甘え、肩を貸してもらって保健室に向かう。

「失礼します。佐藤先生。コイツ寝かせて貰えますか?」

どうやら保健室の先生は佐藤先生と言うらしい。宗輝くんに大体のことを説明してもらい、許可を取ることが出来た。

「そんじゃ俺は授業に戻るわ。無理そうなら6時間目の授業は休めよ。」

「うん。ありがとう。」

宗輝くんは直ぐに保健室から出ていった。

それじゃあ僕は言われた通りに休んでいようかな。そう思い目をつぶる。ベッドの温もりと甘い香りを感じる。この甘い香りはなんだろう?どっかで嗅いだことがある気がする。まるでシャンプーのような…。

「・・・」

僕の脳裏には桃川さんの姿が浮かび上がる。そう。この甘い香りは桃川さんのものだ。別に僕が意図的に嗅いだのではなく、桃川さんを運んでいる時に偶然嗅いでしまったのだ。その香りと全く同じなのだ。

周りを確認する。桃川さんを寝かせたのは5つあるうちの、1番窓側のベッドだった。そして僕が今入っているのは1番窓側のベッド…。

「〜っ!」

そのことに気づいて僕の顔が熱くなる。ものすごく恥ずかしい気持ちだ。っていけないいけない!あまり意識すると桃川さんに失礼だ。そう思いつつも、 僕は最後まで意識してしまった…。

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